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新任先生Q&A(小学校)

新任先生Q&A「ちょっと困ったんだけど...」若手教員の皆さんから寄せられた、そのな困りごとにお答えします。

子どもが髪を染めるのはなぜいけないのか?と保護者から言われました。

入学式で金髪にして登校してきた生徒がおり、すぐに生徒指導が入り、その髪の毛ではいけないということを保護者同伴で、管理職中心に話をしました。
そして今日、髪の毛を茶色に染め直して登校・・・
保護者からは「なぜ茶髪はあかんのか?」と「校則にはあかんと書いてあるけど、元々地毛が茶色の奴はOKでなんで染めた茶色はあかんのか?」などなど電話対応に追われました。
 私自身もなぜ茶色がいけないのかあまり良く分からず、校則に書いてあるし・・・という指導しかできません。一体どう、保護者と子どもを説得したらよいのでしょうか?

(公立中学校・1年目)

髪を染めるというような個人の好みの問題を、学校という特殊な部分社会においてどこまで規制できるかということです。
しかし、ポイントは別のところにあります。

「茶髪はあかん」と、どのようにすれば説得できるかとのお尋ねですが、説得はかなり困難と考えます。その理由を以下に述べます。

かつて熊本県の公立中学校で頭髪を丸刈りにすることを定める校則がありました。そこで保護者は様々な理由でその違法性を争いましたが、その時の熊本地方裁判所は「校則による生徒の服装等にいかなる程度、方法の規制を加えることが適当であるかは、それが教育上の措置に関するものであり、最終的には校長の専門的、技術的な判断に委ねられるものであると」丸刈りを校則で定めることを違法とはしませんでした。(昭和60.11.13)
しかし一方では、「本件校則はその教育上の効果については多分に疑問の余地があるというべきであるが、著しく不合理であることが明らかであると断ずることはできないから、校長が本件校則を制定・公布したこと自体違法とは言えない」として全面的に学校の校則に支持しているわけではありません。また学校(教員)が自ら丸刈りする権利を認めているわけでもありません。

近年は、髪を自分の好みに染めることは憲法13条で保障される幸福追求権の一種と考えられています。価値観の変化とともに幸福追求権の内容も変わることがあります。従って、学校が髪の色まで規制できるかとなると、難しいとする考えも増えています。

そこで、髪の色に拘泥して保護者と子どもを説得しようと思うのではなく、まずは先生が子どもたちに敬われ、慕われる先生となることが大切だと考えます。そのことで子どもたちは自然に先生の生き方や話に感化され、説得力も増すものと思います。校長先生もそのように成長する先生を頼もしく思われるのではないでしょうか。

(回答者:東京教育研究所 主任研究員)