教科の広場
真正なるコミュニケーションは「対話」→「主体性」→「探究」の順に成立する。しかし、その前段階に「他者へ自分をひらく」という「前コミュニケーション的土台」があり、この土台がないまま対話や探究を単にスキルとしてとらえ養成しようとする教育的試みはすべて"まやかし"となる。本稿では、昨今の「対話不全」問題に一石を投ずるべく、現実的・具体的で実践可能な「行動解」という観点での教育的実践例を示したい。
北海道札幌東陵高等学校 白石芳光
本誌は、東京書籍が発行する情報誌「教室の窓」の北海道版です。テーマに沿って、高等学校の現場の先生方から実践事例などをご紹介いただきました。 今回は「SDGs×よりよい社会をめざして」と題し、高等学校の授業実践例を5つ取り上げました。 まずは巻頭言で、北海道教育大学名誉教授の大津和子先生から「SDGs×よりよい社会をめざして」についてご執筆いただき、今回取り上げた5つの授業実践を紹介していただきました。そして、各実践例には、本編とは別に詳細な学習指導(活動)案や実際のご授業で使われた自作資料などを[関連資料]として添付しました。
東京書籍(株) 北海道支社
2022年度から年次進行で新高等学校学習指導要領が実施され、高校公民科の新たな必履修科目として「公共」の授業が始まった。社会科は講義を聞いて知識を覚えるものという印象を払拭し、「公共」の学び方を生徒が体得するには、どのような授業開きがふさわしいだろうか。本稿では、「やさしい日本語」を事例として公共的な空間における共生について考える、年度初めの授業実践を紹介する。
お茶の水女子大学附属高等学校 飯島裕希
2022年4月から、高等学校公民科に新科目「公共」が新設された。本校においても多くの学校と同様に、令和5年度の4月から既に2学年で実施がスタートしている。「公共」では「主体的・対話的で深い学び」の実現をめざし、主権者教育・消費者教育を推進する上で中心的な役割が期待されている。筆者は去る2022年、新科目「公共」を想定した学習プログラムの構築に取り組み実践した。本稿で詳しくご報告したい。
東京都立清瀬高等学校 小松 純
先生方は「遊牧民ゲーム」をご存じだろうか。これは、西アフリカの遊牧民フラニ族の生活実態をもとに教材化したもので、生徒が数名のグループに分かれ、それぞれ遊牧民として牛を連れて2年間遊牧生活を行い、残った牛の数でゲームの勝敗を決するというシミュレーション教材の1つである。本稿では、筆者の「遊牧民ゲーム」活用の実践事例をご紹介したい。
奈良女子大学附属中等教育学校 落葉典雄
〈地域探究学習・高大連携プロジェクト〉本実践は「都市部における買い物難民問題」について、地域探究学習プログラムかつ中高生対象の教育プログラムとして開発・実践したものであり、大阪経済大学と連携した「高大連携地域学習プログラム」の一環でもある。本稿で、その取り組みの内容と成果を詳しくご紹介する。
大阪高等学校 竿下さおした 央ひさし
歴史総合は平成30年度改訂の学習指導要領で置かれた必修科目であるが、学習指導要領解説によれば、近現代史の事象について、特に現代的諸課題との関わりの中で、歴史的な見方・考え方を働かせることができる学習内容を計画することが求められている。そこで、筆者は歴史総合初年度の取り組みとして、「プロジェクト歴史総合」と銘打った一連の課題を計画した。本稿でその実践報告を行いたい。
雲雀丘ひばりがおか学園中学校・高等学校 鳥原悠人
高校地理の授業を楽しくする「授業で使えたこんなモノ」シリーズの第16回。今回は「お雑煮」です。「正月に食べたお雑煮の絵」という冬休みの宿題をきっかけに、お雑煮の味つけや具材に見える地域差を捉え、生活文化の多様性にアプローチする授業実践をご紹介します。
千葉県立成田国際高等学校 石毛一郎
都市問題のテーマに「都市の内部構造」がある。都心と郊外の対比や、商業地・工業地など産業別地区分布など、教科書や資料集にも模式図などが登場する。近年ではインナーシティの再開発やジェントリフィケーションなどが共通テストでも頻出項目となっており、都市構造の理解は必須である。そこで本稿では、都市の内部構造の理解を深めるため、筆者が授業で取り組んだ事例をご紹介したい。
箕みの面お自由学園高等学校 松尾淳一
本校では、高校3年次に地理Bが設置されており、大学入学共通テストへ向けた学習時間を維持しつつ、短時間でできる「深い学び」につながる時間の確保を模索する授業展開を考えている。今回ご紹介する実践事例は、地理Bにおける2時間の授業時間を利用し、日本における少子高齢化の問題とその解決策を他国における少子高齢化対策と比較しながら、18歳の高校生に考えさせようという目的で計画したものである。
箕みの面お自由学園中学校・高等学校 松尾淳一