2024年6月11日 国宝「高雄曼荼羅」染料は紫根=朝廷の関与裏付け―京都国博 京都国立博物館は20日、国宝に指定されている「紫綾金銀泥絵両界曼荼羅(まんだら)図」(高雄曼荼羅)の文様の染料に、植物のムラサキの根(紫根=しこん)が使われていたと発表した。高雄曼荼羅は平安時代前期、淳和天皇の発願で制作されたとされ、同博物館の大原嘉豊教育室長は「紫根は当時、使用が禁止されたこともあるほど貴重だった。今回の結果は、曼荼羅制作への朝廷の関与を裏付けたといえる」と話した。 神護寺(京都市)が所有する高雄曼荼羅は、損傷が進んでいたため、2016年7月から約5年半かけて修理された。20年6月の赤外線を使った調査で染料に紫根が使われた可能性があることが分かっていた。 同館は、修理前に神護寺から提供を受けていた曼荼羅の繊維片の成分の分析を宮内庁正倉院事務所に依頼。同事務所が調べた結果、繊維片から紫根が原料の「シコニン」が検出された。