教科の広場
本誌は、東京書籍が発行する高校数学の教育情報誌です。「巻頭言」は、確率統計を研究する増田弘穀先生(東京大学)にご寄稿いただきました。特集として、「統計的な推測」のイメージでつかむ指導方法についてご紹介しました。「大学入試TOPICS」では、2024度の大学入学共通テストについての分析を掲載しました。「教育実践report」では、授業の「あと5分」に使える発問群の提案と、GeoGebraの活用例を紹介しました。最後に、「高校生へのメッセージ」として中高一貫校やYouTubeで数学を伝える活動を行っている先生に、メッセージをいただきました。
東京書籍(株) 数学編集部
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)2022年の調査結果について、公開されています。結果の概要として、数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの3分野全てにおいて、世界トップレベル。前回2018年調査から、OECDの平均得点は低下した一方、日本は3分野全てにおいて前回調査より平均得点が上昇しています。今回の結果には、新型コロナウイルス感染症のため休校した期間が他国に比べて短かったことが影響した可能性があることが、OECDから指摘されている。
文部科学省
1年生の授業の図形と計量の単元において「正弦定理・余弦定理」を指導する機会があった。教科書では定理そのものを習いたてのこともあり、定番の問題を用いた演習を繰り返し行った。正弦定理と余弦定理の使い分けについての指導程度でこの単元の授業は終了した。そこでまさに「正弦定理」「余弦定理」のみの問題だけでなく、「円周角の定理」や「方べきの定理」などを活用できる総合的な図形の問題の作問に挑戦した。
栃木県立栃木・佐野高等学校 非常勤講師 宇賀神 忠靖
東京書籍『数学Ⅲ Advanced』(令和5年度発行)p.118 例題10 の解法には、2つの意味がある。1つは導関数(第1次,第2次)が求めやすくなること,もう1つは漸近線の方程式が求められることである。生徒からの質問をきっかけに曲線y=xa/x-2(α=-1,0,1/2,1,3)の概形について考察してみた。
山口県立徳山高等学校 西元教善
教科書の例題の中には,学習内容の先取り説明として,あるいは後日に学習する内容の問題として再活用できるものが少なくない。1つの問題を多角的に深く考察させることには学習効果がある。本稿ではそのような問題として,東京書籍『数学Ⅲ Advanced』(平成30年度版)p.175の例題6を考察してみる。
数学Ⅱの図形と方程式の問題で、円上の点と定直線の点の距離の最大値と最小値を求める際、周知の図形の性質を使うものの混乱して行き詰まる生徒が少なくない。ここで問題となるのは、数学A「図形の性質」で学習した数学的事実をその証明を含め深く理解できているかどうかという点である。本稿では、筆者が実際に授業で取り扱った問題を引いて、本来どう指導すべきであったかを考察してみたい。
2010年本サイトで、「座標」を用いてメネラウスの定理を、「ベクトル」を用いてチェバ・メネラウスの定理をそれぞれ証明するという内容の投稿を行ったことがある。これらに引き続き、本稿では「座標」を用いてチェバの定理を証明してみたい。
本誌は、東京書籍が発行する高校数学の教育情報誌です。特集として、昨年2022年秋号で好評だった「大学入試と思考のプロセス」の続編として、今年の大学入試の、NEWACTIONの思考のプロセスを用いた解説を紹介しました。「巻頭言」では大学での微積分の講義について、「私の心に残った数学の本」では『現代解析学入門』の本、「大学入試TOPICS」では代々木ゼミナールの講師に、興味深く、授業で扱いたい問題をご紹介していただきました。「高校生へのメッセージ」では、NEWACTIONシリーズの解説動画を担当している駿台予備校の講師に、メッセージをいただきました。
同じ問題であっても、異なった分野の内容を使って解いたり証明したりできることがある。特に図形の場合は、数学A「図形の性質」と数学Ⅱ「図形と式」、つまり初等幾何あるいは解析幾何として解く(証明する)ことができる。例えば、問題の分野の出自を明かさず「大小2つの円が交わっているとき、2つの円の共通接線の2つの接点をA、Bとする。このとき、2つの円の共通弦の延長線は線分を2等分することを証明せよ。」という問題を生徒に与えたら、生徒はどのように取り組むであろうか。本稿で考察してみたい。
以前も述べた通り、問題集の解答編は紙面の都合もあり、かなり圧縮して書かれている場合がある。また、解答編はあくまでも解答例であり、もっとわかりやすい別解が存在していることもある。本稿では、解答編に記載されている解答がわかりにくいと言った生徒に別解を提示したところ、「説明がよくわかった」と評価された解答、さらにその問題を一般化した問題・解答をお示ししたい。