前回,「円に外接する三角形の面積の最小値」を求める問題で凸不等式が威力を発揮することをみた。小問誘導が付かない場合に,最初の第一手を自ら見出して解答を組むことは誰にとっても難しい。しかし,最近の入試問題で小問誘導による出題の割合が少々多すぎる感があると思っているのは筆者だけではないかもしれない。採点のし易さや得点の差を出すため,あるいは低い平均点を避けるため,さらには誘導なしの問題にしたのでは高度過ぎる結果を導出させたい等の理由があるにしても,センター試験と同様,解いていて,爽快感や(解答に当たっての)創造感をあまり覚えないのが正直な感想である。総設問数の多さからくる疲労感を伴うことさえある。このような理由で,このシリーズでは小問誘導や多くの小問誘導を必要とする問題は極力避けてある。
東大寺学園中高等学校 本庄隆