教室の窓「英語Vol.12」2008年1月作成
実は,私,ここニュージーランドで教壇に立っていたことがある。もともとは,フライフィッシングがしたくて20年前にこの地を訪れ,そのまま釣りガイドを営んでいたのだが,10年をひとつの境目として転職することにした。辞めるのはいいが,それでは何をしようかと考えた。いろいろと迷った末,これならと足を踏み出したのが教職だった。この国は4学期制なので年に3回2週間のお休み,そして12月から1月いっぱいのほぼ2か月が夏休みとなる。しかも夏休みは学年末にあたるから宿題もない。ということは,ほぼ2か月,釣り呆けていられる。そんな甘い夢にそそのかされるまま,まずは資格を取らねばと教職専門課程に1年間通い,教員免許を取得することにした。日本の大学の学位を認めてもらい,面接試験やらをなんとかパスして,通い始めてびっくり。生徒にはそれこそ多種多様な人たちがいたが,一番驚いたのは,現職の教師も中にいたことだ。「教職資格を取るための学校の生徒になぜ教師が?」と質問をしたら,「そりゃ資格を持ってたほうが給料いいもんなぁ。もう息子も大きくなるし,これからお金がかかるから」との答え。え?教師になるのに,免許っていらないわけ?
ライター・翻訳者 斉藤完治