私はこの3月に清泉女子大学を退職し,36年にわたる大学教員生活に終止符を打ちました。たまたま東京書籍編集部から,この間のライティング指導の変遷を振り返り,教科書編集委員として,その変化をしたためてみるよう依頼がありましたので,時宜を得た企画と思い,筆を執ることに致しました。今では,「どうしてライティング?」と,その価値を疑問視する先生方は少なくなったとは思います。しかし,ライティング指導について苦手意識をもつ先生方は少なくないと思われます。本稿では3回シリーズで,ライティング教育を巡る30数年間の変遷を振り返り,その間の学習指導要領および,それに準拠した教科書の中でのライティングの扱いの変化を振り返ってみたいと思います。それとともに,ライティング指導に関し,先生方になんらかの参考となるようなお話が展開できればと考えております。
千葉大学名誉教授 大井恭子