教科書の単元から資料を探すページです。
【本文より】生徒に生物を教える場合,効果的な実験は不可欠だと思う。しかし,授業進度,詳細な説明を考えると実施可能なものは限られてしまうのが現状であろう。小生も教員になった年から様々な生物の教材化を検討してみたが,実施可能なものはわずかであった。小生の力量の無さに起因するのだが。今回,先人の方々の実践例を参考にし,シダ植物とくに私たちの身近に見られるスギナ(Equsetum arvense L)について,その教材化例,実践例を紹介したい。
北海道札幌丘珠高等学校 金澤昭良
ヒドラは,体長1cmほどの刺胞動物ヒドロ虫綱の一種で,サンゴやクラゲの仲間である。二胚葉性の生物で,細胞数は10万個,細胞は6種類しかない。また,体は極めて単純だが,遺伝子の調査から,サンゴ(5億年前)より後に出現としたと考えられている。ヒドラの捕食行動の観察はたいへん興味深く,生徒にも人気の観察実習である。今回はその学習を更に深める実験を行ったので報告する。
北海道札幌旭丘高等学校 杉山剛英
発光から知る物質・電子のエネルギー「ウミホタルVargula hilgendorfiiの光に魅せられて」。千葉県館山桟橋でのウミホタルを採集し,「光の放出」をテーマに,ウミホタルを使った発光実験の実践事例です。
神奈川県立横浜桜陽高校 鈴木正明
ヘッケル(生物学者)東京書籍作成Ernst Heinrich Philipp August Haeckelドイツ,1834-1919科学者人物誌―生物東京書籍2003年11月作成ドイツの生物学者。メルゼンブルクの行政顧問官を父としてポツダムに生まれる。若い頃から植物標本の収集に関心を持ち,同時に絵を描くことを好んだ。両親の勧めで医学を学んだが好まず,医学の科学的な基礎を探求する方向を選んだ。ベルリン,ヴュルツブルク,ウィーンの医学部で学んだが,関心は比較解剖学と発生学にあり,ルドルフ・フィルヒョウの機械論的生物学にも影響された。1857年にベルリン大学で医学博士号を,動物学の論文によって得た。1859年から翌年にかけて地中海で放散虫についての研究を行い,『放散虫』(1862年)を刊行した。この研究が認められて1861年にイェナ大学医学部の比較解剖学講師となり,1862年に同大学哲学部の動物学員外教授に,1865年には正教授に昇格して同時に動物学研究所の所長にもなった。その職に1909年に退官するまで留まった。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
(栃木県立田沼高等学校の植物写真)田沼高校ではときおり珍しい植物が見つかります。写真の”物体”もそんなひとつでしょう。この物体はオニフスベという名の、食べるられるキノコです。フスベとは瘤(たんこぶのこぶ)という意味で、ローアングルのため校舎に比べて巨大に見えますが、実物はソフトボールほどの直径です。
栃木県立田沼高等学校 川島基巳
東書教育シリーズ中学校理科「先生,モノグリセリドって何?」-教科書記述の変更点-(2012年10月発行)より。藻類は,二界説では植物,五界説では原生生物に分類されてきました。今後は,さらに新しい説に差し替えられていくでしょう。教科書記述も変わりつつあるなかで,藻類の分類に関する現状をご紹介します。
東京書籍(株) 理科編集部
生命現象は人間の思惑や流行とは無関係に営まれており,そこには純粋な生命現象の本質をみることができる。本研究では,日常生活では全く目にすることも耳にすることもないスナギンチャク類の配偶子形成について紹介する。
宮崎県都城東高等学校 小野修助
(栃木県立田沼高等学校の植物写真)写真は皆さんがパンを買う光景と、その手前で育つ生きている化石植物です。去年この植物が本校内にあるのを見つけて大変に驚きました。箒を立てたようなこの植物は、松葉のように細い棒状の姿からマツバラン(松葉蘭)と呼ばれます。
栃木県立田沼高等学校 川島基巳
バロン ジョルジュ レオポルド クレティアン フレデレック ダゴベール キュビエフランス,1769-1832科学者人物誌―生物東京書籍2002年10月作成「私の歯を1枚,知らない人類学者の手に渡したら,その人は私の姿を完全に復元してくれるだろうか。」もちろん冗談まじりではあるが,そんなことを書いた人があった。それはさておき,1枚の歯や1片の化石骨からその主がどんな動物であったかを推定する古生物学の方法の土台を置いたのは,キュビエであった。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
生物Ⅱの授業を引き受けた。昨年はこの授業の中で課題研究として行った魚介類(特に貝類)の進化について生徒たちのユニークな発想を紹介したが,今回は主に解剖の授業を展開する上で授業者に役立ちそうな情報の提供と,生徒たちの考えた魚類の分類・進化を紹介したい。
宮城県気仙沼西高等学校 吉本裕一・小林裕美
【本文より】筆者の一人吉本は,本校に赴任し生物IIを教えることになった。担当するクラスは3年生の教養コースだから何をしても構わないとのこと。高橋の強い勧めもあり,漁港の町気仙沼ならではの実験観察,すなわち容易に入手できる魚介類の解剖を,『第Ⅳ章・課題研究』として位置付け,授業に取り入れようと話はまとまった。とは言うものの,この手の実験観察など授業で扱った経験のない筆者らはろくな教材観もなしに,泥縄式,前後の授業との脈絡なしに実験観察を進めていた。ところが対象とする魚介類の種類が増すにつれ,そして授業が“生物の進化と系統”という項目にさしかかったあたりで,魚屋の店頭に並ぶ魚介類であっても,それぞれの生活様式と形態,各種器官の有無等を比較検討すれば,動物の進化(変化)を理解する上で大いに役立つ教材になるとの思いに至った。以下は,教える側と教えられる側がともに驚き,そして楽しみながら行った授業実践の記録である。
宮城県気仙沼西高等学校 吉本裕一,高橋誠子
(栃木県立田沼高等学校の植物写真)校庭のイチョウが目の醒めるような黄金色の葉を付けています。雌雄異株のこの植物は、学問上大変興味深い事実を提供し、知的好奇心をくすぐる木です。それはこの植物が動物のように精子を持つからです。
栃木県立田沼高等学校 川島基巳
東書教育シリーズ「新教材の研究」東京書籍編集部作成1992年発行より。「進化の学習でなぜヒトか」,「ヒトかサルか」,「直立二足歩行とは」,「森林から草原へ」,「足と手」,「ヒトの祖先」,「道具の前史」について。
東京書籍(株) 理科編集部
(栃木県立田沼高等学校の植物写真)私がグランドに行った時、こんな質問がありました。「先生、このワカメみたいなの何ですか。」先生方からも尋ねられました。答を先に書きます。この物体はイシクラゲといい、原核生物の一種で、藍(ラン)藻類のネンジュモ属というグループにも分類される生物です。
栃木県立田沼高等学校 川島基巳
(栃木県立田沼高等学校の植物写真)この『花逍遙』は万葉集の東歌や校歌の「万葉の……」を取りあげるところから始めました。きょうは一学期の終業式。そこで一学期の最終号は式にちなんで古今和歌集の歌で締めくくってみます。まず写真を見てください。これはウメノキゴケといって地衣類というグループに分けられる植物です。
栃木県立田沼高等学校 川島基巳
実際に採取したミミズを利用しながら様々な疑問についてディスカッションをすることで,生きものの不思議,生態系の中でのミミズの役割などを理解させる授業案を,生徒に配布するプリントと合わせて紹介している。
東京都立両国高等学校教諭 山藤旅聞
化石標本リスト。この写真資料は、『日本化石資料館』(岡山市中区山崎148-22 TEL:086-237-8100)からお借りした写真を、東京書籍がデジタル編集したものです。日本化石資料館では、永年かけて採集した数少ない北海道産の美しい学術的価値のあるアンモナイトの化石標本を中心に、およそ5010点にも及ぶ標本を随時テーマを変えて展示しています。このなかの写真はすべて北海道から採集したものです。
日本化石資料館
(栃木県立田沼高等学校の植物写真)今年の下見は思いがけない出会いがありました。写真のキヌガサタケ(衣笠茸)との出会いです。このキノコ、雨傘形とは随分かけ離れた特徴的な姿です。中央の円柱と円錐の帽子が深編み笠をかぶった虚無僧を連想させたのでしょうか、コムソウタケ(虚無僧茸)の別名も持ちます。
栃木県立田沼高等学校 川島基巳
ニューサポート高校「理科」vol.37(2022年春号)より。私の専門は自然人類学である。人類学と言えば、人間が持っているさまざまな文化について研究する文化人類学が有名だが、それとは別の学問だ。私たちヒトという生物がどのようにして進化してきたのか、ヒトとはどんな動物なのかを探る、生物学の一分野である。
総合研究大学院大学学長 長谷川眞理子
「教室の窓北海道版(高等学校 教育情報誌)vol.37 特集:人種・人権×SDGs」(2022年4月)より。自分自身のもつ偏見やステレオタイプに気付き、安易な一般論、ステレオタイプは根拠が十分になく、相手を傷つけるものが多く、個々に適用することの危険性を知る。アメリカにおける黒人差別の歴史的経緯を知り、「人種」は植民地政策や奴隷制度を正当化するために、政治的意図をもって創られた概念であることを理解する。日本国内で見られる差別の事例について調べ、レポートにまとめることができる。
札幌北斗高等学校 林香織
「教室の窓北海道版(高等学校 教育情報誌)vol.37 特集:人種・人権×SDGs」(2022年4月)より。「自分自身のもつ偏見やステレオタイプに気付くとともに、アメリカにおける黒人差別の歴史的経緯を学んで、『人種』は政治的意図により創られた概念であることを理解する」ことをねらいとしています。まず、9人の顔写真からそれぞれの職業を推測することにより、自身のステレオタイプ的な見方に気付きます。そして、「奴隷貿易の開始」「KKKの活動」「公民権運動」といったカードに書かれた情報をもとに、グループごとにクイズをつくります。他のグループがそれらに対する正解を考え、クラス全体で共有しながら人種差別に対する理解を深めていきます。また、紙ボールを自席から箱に投げ入れるゲームを通じて、特権をもつ人は特権をもたない人に関心を向けにくいことを実感します。
札幌北斗高等学校 林香織
「教室の窓北海道版(高等学校 教育情報誌)vol.37 特集:人種・人権×SDGs」(2022年4月)より。「人種」「民族」が社会的につくられた概念であることを理解したうえで、無意識にもっている偏見に気付き、人種差別をなくすためにどうすればいいかを考える。
市立札幌清田高等学校 立田和久
「教室の窓北海道版(高等学校 教育情報誌)vol.37 特集:人種・人権×SDGs」(2022年4月)より。「『人種』が社会的に創られた概念であることを理解するとともに、人種差別をなくすためにどうすればいいかを考える」ことをねらいとしています。東京オリンピックにおける人種差別などに対する選手たちの抗議行動、および先輩がオーストラリア語学研修中に現地で受けた差別の事例などを通じて人種差別に関心をもち、人類の移動ルートを示す地図、国により異なる人種区分から、「人種」とは創りだされた概念であることを理解し、人種差別をなくすためにできることを考えます。
市立札幌清田高等学校 立田和久
授業の始めの5分程度を,前の時間の復習として利用できる。A4判横左半分にテスト,右半分に解答の構成。[キーワード]霊長類,原猿類,サルの仲間,立体視,口ふん,類人猿,真猿類,耳
東京書籍(株) 理科編集部
毎日食べたり,身近で出会う動植物を系統分類の教材にしましょう。私たちは実にいろいろな物を食べています。年度や学期のはじめに下のようなプリントを配っておき,年度末か学期末に提出させます。系統樹とともに,食材になる動植物のほか,生徒が身近で出会いそうな動植物の分類一覧を事前に生徒に配布しておきます。分類がわからなければ質問を受けます。完成した系統樹は,動植物に出会った(食べた)日時と状況の記録もつけてレポートとして出させます。
栃木県立栃木高等学校 川島基巳
動物に続いて,植物,菌類,細菌で生徒に系統樹を書かせましょう。思い当たる食材をいくつか分類し表にしておきました。[学習テーマ]食材で系統分類を学習しよう
栃木県立栃木高等学校 川島基巳
新年になって2ヶ月が過ぎたので,正月料理や新年の飾りで出会った動物,植物を拾ってみた 1,2で,食材を使った系統の学習に触れたが,正月には他の季節にくらべ一年のうちでも短い期間に多くの動物植物に出会うようだ。食材に限らず,年が明けてから出会ったものを来年の授業用に整理してみたところ,確認できただけで22種あった。これだけあれば授業に使えるかもしれない。不完全ながら各分類段階も記した。まずは正月飾りに使われた植物から。次の6つが玄関の飾りと門松でみられた。
栃木県立栃木高等学校 川島基巳
朝の輪読は春休み恒例の脱線中で,生物を「真性細菌(バクテリア)・真核生物(ユーカリア)・古細菌(アーキア)」の3ドメインに分類した,有名なカール・ウーズの論文を1週間かけて読んでみた。1990年にアメリカ科学アカデミー誌に投稿された,著者3人によるたった4ページの論文である。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
生物の系統樹は,3本の太い幹がある。教科書に載っているように,われわれが属している「真核生物(Eukaria)」があり,そして,2種類の原核生物である「真正細菌(Bacteria)」と「アーキア(Archaea)」がある。しかし,この系統樹はもう書き換えを迫られている。われわれは一本の太い幹を持つのではなく,アーキアの小枝のひとつのようだ。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
いま生物学を席巻しているのがCRISPRだ。クリスパーと呼ぶ。原核生物が持つ感染防御の仕組みが理解され,これがゲノム操作に応用されている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
さすがに限界が来てスマホを買ったのが1年半前のことだった。これが自分のケータイを持つデビューだった。40代後半までケータイすら持っていなかったのは,冗談のようだが本当のことである。日本でフツーの仕事をしている中年男子がよくぞここまでケータイなしにやって来られたものだと思う。だからつい最近まで,電車に乗れば本を読んでいたし,思いついたことはv-cornの青で手帳にメモを取り,道を歩くときは景色を見るでもなく静かに考えごとでもできていた。しかし今や,メモのかわりに写真を撮ったり,ラーメン屋で麺がゆであがるのを待つ間にスマホでツイッターをやっていたり,歩きながら音楽を聴いたりしているのだから,すっかり現代風になっている。先週はついに,6.5インチの最新機種に買い替えた。画面も広く,バッテリーの持ちも素晴らしい。防水も優秀で,風呂に浸かってユーチューブを見ている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎