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エドワード ローリー テータム (Edward Lawrie Tatum)アメリカ,1909-1975科学者人物誌―生物エドワードL.テータムは1909年12月14日,米国コロラド州のボルダー市で生まれた。当時,父アーサーL.テータムは薬学の研究者としてスタートしたばかりであった。アーサーは,後にウィスコンシン大学へ移ったが,エドワードも父と共にウィスコンシンヘ移り,ウィスコンシン大学を卒業し,学位も同大学で取得した。学位論文は,プロピオン酸発酵菌の栄養素要求に関するもので,当時ヒトと酵母のビタミンとして知られていたチアミン(ビタミンB1)が,この細菌にとっても必須の成長因子であることを初めて明らかにした。その後,ビオチン(ビタミンH)の研究で知られているユトレヒト大学(オランダ)のゴーグルの下で研修したが,そこでスタンフォード大学のジョージ・ビードルが生化学者を探していることを知った。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
ニューサポート高校「理科」vol.35(2021年春号)より。最近,研究室のホームページ(http://www.serizawa.polymer.titech.ac.jp/)に高校生向けの研究紹介動画を掲載しました。それをたまたま視聴された東京書籍の方から本特集への執筆依頼をいただきました。高等学校で教鞭を執られている先生方に研究紹介できる機会はそうそうありませんので,喜んでお引き受けすることにしました。
東京工業大学物質理工学院応用化学系 芹澤 武
ミーシャー(生物学者)Johann Friedrich Miescherスイス,1844-1895科学者人物誌―生物スイスの生理学者。バーゼルに生まれる。生まれた頃同名の父親はベルン大学の病理解剖学の教授であったが,1850年からはバーゼル大学教授になっていた。息子のミーシャーはドイツ各地の大学で医学を学び,1868年にバーゼル大学で医学博士号を取得した。その後テュービンゲン大学の化学者ホッペ=ザイラー(Ernes Felix Immanuel Hoppe-Seyler,1825-1895)の研究室に学んだ。この時期に起こっていたクリミア戦争の戦地病院から送られてくる包帯についた膿を調べることでリンと窒素を含んだ物質を見つけ「ヌクレイン」(核(ヌクレイ)に由来する物質という意味)と命名した。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
メーセルソン(生物学者)Matthew Stanley Meselsonアメリカ,1930-科学者人物誌―生物アメリカの分子生物学者。コロラド州デンヴァーで生まれる。カリフォルニア工科大学で物理化学を研究し,そのまま留まり続けて最終的には教授になった。1976年にはハーヴァード大学に移り,トマス・ダドリィ・カボト(Thomas Dadley Cabot)自然科学教授になった。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
「2012年度用高校理科教師用指導資料付属のDVD-ROM 動画サンプル集」より。アカムシユスリカを使用して,パフを観察した動画です。
東京書籍(株) 理科編集部
レーヴィ(生物学者)東京書籍作成Otto Loewiドイツ,1873-1961科学者人物誌―生物東京書籍2003年9月作成ドイツ(後にアメリカ)の生理学者・薬学者。1873年にフランクフルト・アム・マインに商人の息子として生まれる。1891年にミュンヘン大学とシュトラスブルク大学(当時はドイツ領)の医学部に学んだが,初めは医学にあまり関心を持たなかった。1894年秋に突然医学に目覚め1896年にはシュトラスブルク大学で医学博士号を取得,卒業後1897年から翌年にかけてフランクフルトの市立病院に勤める。そこで多くの患者が,治療法が無いために放置されている現状を見て,基礎医学,特に薬学を研究して治療法の発見を目指すことに決めた。1898年にマールブルク大学の薬学教授ハンス・ホルスト・マイアーの助手となり,1905年にはウィーン大学に移っていたマイアーの研究室の準教授となり,1909年にはオーストリアのグラーツ大学の医学教授となった。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
フレデリック キャンピオン スチュワード (Frederick Steward )英国,1904-1993科学者人物誌―生物スチュワードは1904年ロンドンで生まれ,リーズ大学で化学の学士号を,植物学で博士号を取得している。彼の関心は,植物学の諸問題の解決に化学的手法を導入することにあった。彼は,はじめサトウダイコンやジャガイモ貯蔵組織のスライスを用いて,生体膜の半透性を調べていた。これらの組織は生理的に不活発で,カリウムや塩素などのイオンを蓄積している。彼はイオンの蓄積を誘導する条件を調べるうちに,温度,スライスの厚さとともに,特に酸素供給が重要であることに気がついた。これらの条件は,同時に細胞の代謝活性に大きく影響した。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
遺伝の学習は高校生物において重要な位置を占めており,大学入試問題にも必ず登場している。生徒も関心を持ちやすい分野である。しかし「連鎖」と聞くと,拒絶反応を示す受験生も少なくない。一つの染色体には複数の遺伝子が存在するため,連鎖は一般的に起こっている現象であるが,生徒たちは“特別な現象”としてとらえているようである。連鎖についてアカムシユスリカの幼虫を用いた,だ腺染色体の観察実践事例。
群馬県前橋育英高等学校 金子千里
関西大学初等部・中等部・高等部は,関西大学付属の初中高一貫校として2010年に大阪高槻市に開校した。関西大学の掲げる「考動−Think × Act−」を軸に,「確かな学力」「国際理解力」「情感豊かな心」「健やかな体」を目指すことにより「高い人間力」を養うことを一貫教育目標としている。初等部では“ミューズ学習”で思考スキルの育成,中等部では“考える科”で高次思考力の育成,高等部では“プロジェクト科目”で探求型の課題研究に取り組んでいる。本校での実践を紹介する。
関西大学中等部高等部教諭 宮本裕美子
平成16~21(2004-2009)年度版「生物II」教科書準拠。第1編 生命活動を支える物質 1章 タンパク質の構造とはたらき 1-A タンパク質の重要性と構造。※授業プリントとして,自由に加工・編集してご利用いただけます。
東京書籍(株) 理科編集部
STAP細胞が誕生した(1,2)。発表された夜に論文を読んでみたのだが,こんなことがあるのかと興奮してなかなか寝付けなかった。Nature誌の解説に「The generation of these cells is essentially Mother Nature's way of responding to injury」と共著者のVacanti博士が感想を述べていたが(3),傷を受けると自然に治癒するような,そんな生きものらしい応答で誕生したものだ。科学は着実に一歩ずつ進むばかりではなく,ジャンプしたり裏返ったり戻ってみたりと,いろいろな展開がある。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
RNAは21世紀初頭の生命科学を代表するテーマである。一流誌の目次に「RNA」の文字を見ない日はない。フォローしていくのが大変なほど進展が早いのも特徴だ。トピックはもちろん,タンパク質をコードしているメッセンジャーRNA(mRNA)や翻訳にかかわるトランスファーRNA(tRNA)といったお馴染みのRNAではなく,ノンコーディングRNA(ncRNA)である。ヒトゲノムのなかでタンパク質をコードする領域はわずか2%程にすぎず,大部分に残された「暗黒領域」の研究が精力的に展開されている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
最近のノーベル化学賞はまるで生物物理学会の発表のようで,お馴染みのタンパク質研究がずらりと並ぶ。2013年化学賞の量子化学計算や分子動力学計算は,今では酵素の働きやタンパク質のフォールディングを理解する重要なツールだ。「方法」にも光が当たるのは大事なことで,2002年にも,タンパク質溶液構造の核磁気共鳴法や巨大分子の質量分析法にノーベル化学賞が授与されている。これらは多くのタンパク質研究者がいつも使っている方法である。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
生命科学の分野では今,液-液相分離がホットな研究テーマになっている。これまで,「かがくのおと」でもこの話題をいくつか取り上げてきたが,今回,プリオンタンパク質も細胞内で液-液相分離をするという論文を紹介したい(1)。プリオンタンパク質は強固な凝集体を形成して感染因子になることが知られていたが,このたび,ストレスに応じてゲル化し,ストレスから守る働きもあるようだ。そのために,この危険なタンパク質が進化的に保存されてきたのかもしれない。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
タンパク質は固有の構造を形成して働く。これはタンパク質の基本的なドグマだが,最近,構造を形成せずに働くタンパク質が話題になっている。日本語では「天然変性タンパク質」,英語では「Natively Unfolded Protein」や「Intrinsically Disordered Protein」という。タンパク質のことを知っている人に「おや?」と思わせる,インパクトのある名前だ。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
DNAに書き込まれている遺伝情報は,メッセンジャーRNA(mRNA)へと転写されてタンパク質へと翻訳される。そしてタンパク質が働きを担って生命現象を作り出している。このような分子生物学の「セントラルドグマ」から見れば,mRNAは完全に脇役である。しかし最近の研究によると,mRNAは遺伝情報の単なるコピーではなく,遺伝子の発現や局在化を制御する働きも合わせ持つことがわかりつつある(1-4)。mRNAは,遺伝情報をいつどこで発現するのか,自身の配列にコードしているということになるのだ。そこにはもちろん,本コーナーで何度も取り上げてきた「膜のないオルガネラ」が関係する(5,6)。今回は,液-液相分離とともに理解されつつあるmRNAについて整理してみたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
前回に続いて,今回はタンパク質研究の大きな方向性について,いつも考えていることを整理してみたいと思う。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
これまで15年間ほど,タンパク質しか研究していない。つまり私に書けるものは,タンパク質しかない。そんなことで,何かは書けるはずだと高をくくっていたのだが,さいしょに会った編集者に「先生にとってタンパク質って何ですか」といわれて,はたと答えに窮した。タンパク質とは何か。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎