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ニューサポート高校「理科」vol.38(2022年秋号)特集:新課程授業実践~理科の教室から~より。2022年4月から新学習指導要領が実施され、新しい教科書となった。授業においては、教授内容の精査だけでなく、「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱の資質・能力の育成、観点別評価の導入などダイナミックな授業改革が求められている。一方、授業改革の必要性は、新型コロナウイルス感染症による社会の変化によって、生徒たちからも求められるようになった。
栃木県立宇都宮東高等学校 廣川晴香
ニューサポート高校「理科」vol.38(2022年秋号)特集:新課程授業実践~理科の教室から~より。足立区の竹の塚駅から徒歩 20 分ほど。住宅街の一角にある元渕江公園内の足立区生物園は、知る人ぞ知る展示研究施設である。この生物園の特徴は、展示されている生物との距離感が近いことにある。生物との「ふれあい」に重点を置く園内では、約500種の生物の息遣いを感じることができる。
東京書籍(株) 理科編集部
大阪高等学校で探究(研究)活動を続けてきた5年間を振り返ると、先生方や財団等、実に多くの方々からご支援をいただくことができた。全国の学校教育機関でも、新学習指導要領の施行を見すえたさまざまな教育実践が行われていると思うが、本稿では環境DNAを利用した実践事例を軸に、5年間における探究(研究)活動の歩みをご紹介したい。一つの実践例として参考にしていただけたら幸いである。
学校法人大阪学園 大阪高等学校 谷脇鉄平
ニューサポート高校「理科」vol.39(2023年春号)特集:熱化学の指導/実験を通して見いだす力を育む授業設計、より。令和4年度から新学習指導要領の指導が始まり、教師にとって、授業スタイルの変更、観点別評価、生徒のタブレット活用、コロナ禍での日々の対応などを取り組むことが増え、正直疲れている。学校によってはほとんど実験ができていないという声も耳にする。しかし、生物に直接ふれあって観察・実験ができることは理科教育の醍醐味であり、是非、定番実験から生徒に体験させてあげたい。
埼玉県立川口北高等学校 井口藍
ニューサポート高校「理科」vol.41(2024年春号)「特集:授業を変える~探究~」より。「探究」という学習活動が広まりつつある今、私たち授業者は真に「授業に“正解”はない」といえる環境のなかで日々授業を創る。その際の議論の出発点は「授業の目的は何なのか」「どんな生徒を育てたいのか」という問いであるべきである。また、特に「探究」の授業においては、コンテンツベースではなく、コンピテンシーベースに授業が設計されるべきであろう。本稿においては、私自身の探究や PBL に関する授業事例のいくつかに触れるが、それらの実践の根底には私(本校)の「育てたい学習者像」という大きな目的設定がある。さらには、授業それぞれに細かなコンピテンシーベースの狙いがある。以下の事例は、それらの目的・狙いから逆算的に設計したものであることをはじめに強調しておきたい。
文化学園大学杉並中学・高等学校 染谷昌亮
ニューサポート高校「理科」vol.32(2019年秋号)より。5年前から「生物基礎」の授業でディベートを取り入れることにした。ディベートは,ディスカッションや発表と異なり,勝敗が決まるためスポーツ感覚で取り組むことができる。これにより,原稿を読むだけの発表よりも興味・関心を高めて主体的に活動しやすくなる。また,相手の立論や質問を十分に聴かないと,自分の意見を述べることができないため,深い対話が実現される。前任校を含めこれまで実施してきた方法や成果や課題等を述べていく。
群馬県立前橋高等学校教諭 髙橋直之
新学習指導要領の実施を見据えて文部科学省は、優先的に整備すべきICT環境整備としてまず大型提示装置を挙げています。そこで、インタラクティブ機能をもつ大型提示装置、いわゆる電子黒板を活用した授業実践についてご紹介したいと思います。
佐賀県立唐津西高等学校 W.E.
大阪教育大学附属高等学校池田校舎は自由・自主・自律の校風があり、生徒が主体的に生徒会活動や部活動、行事運営を行っている。生徒たちは慣れ親しんだスマートフォンを活用して、それらの活動を行っている。私は、前任者が行ってきた生徒たちの日常と学校生活を融合させる取り組みを引き継いでいる。本稿では、学校でのICT活用を促進していくための環境整備と授業での実践を報告する。以下の例は、先行して実践している私学等から取り入れたものが多く、最先端の取り組みとは言えないが、国公立の高等学校などで、今後ICT活用を考えている先生方の一助となれば幸いである。
大阪教育大学附属高等学校池田校舎 岡本元達
ニューサポート高校「理科」vol.37(2022年春号)より。教室の学びをきっかけに、実社会に影響を与える行動がおき、その結果、持続可能な社会を創造する行動が生まれていくような教育をデザインはできないだろうか。教室の学びにおいて、教科書や資料集にある「情報」に、解釈が伴えば「知識」という横軸が形成され、ここに、教科横断という縦軸が加われば、各教科の学びが手段化し、さらには、時間や歴史という時間軸が加わることで教科書の学びが未来創造につながるのではないだろうか。
一般社団法人Think the Earth 山藤旅聞
1986年4月,私は都立大崎高等学校に着任した。中学校からの異動だったので,生物の授業では実習のためのテキストを自作しているということに感心したが,上野動物園の見学が含まれているのには,驚いた。動物園といえば子供の頃の思い出しかなかったし,捕らわれた動物を観察して生物の学習になるのか不審に思った。しかし動物園・水族館を知れば知るほど興味深く,1998年3月に退職するまでの間,年々授業の中での比重が増して行った。ここでは,その授業実践について報告する。
サイエンスライター,元都立小山台高等学校 福田恵
ニューサポート高校「教育情報」vol.35(2024年春号)より。本校は『豊かな創造力を生み出す開智教育』として開校当初から探究を続けており、今年で開校 28 年目を迎えた。これは本校の名誉学園長である大村智氏(2015 年ノーベル生理学・医学賞受賞)の教育理念を学校の目標として体現したものである。長年にわたる試行錯誤の中で形成されてきた探究が深まるための要点について、私なりの解釈を踏まえて紹介する。学校全体の探究を発展させていくためのアイディアの一つに加えていただけると幸いである。
開智中学・高等学校探究テーマ室長 久保智
ニューサポート高校「理科」vol.31(2019年春号)より。[生物基礎]分量は現行センター試験とほぼ同じである。特徴としては,単純な暗記知識で解ける設問が減少した。代わりに会話文や身近な生物の内容の設問が多く出題され,共通テストが目指す方向性が反映されている。読解力を必要とする設問や知識を関連させる設問が多いので,時間内で解答するのはやや厳しいと思われる。[生物]知識を使って解答を導きだす思考力が重視され,単純な暗記知識で解答できる設問は少なか った。複数の分野にわたる総合問題が出題された。また,組み合わせを選ぶ設問で,部分点の設定があるものが見られた。分量は前回のプレテストに比べて減少したが,思考力や文章の読解力を求める設問が多く,現行のセンター試験よりやや難しくなった。
東進ハイスクール講師 山口学
ニューサポート高校「理科」vol.30(2018年秋号)より。『生物基礎』では,中学校までに学習した内 容を基礎として,『生物』では,中学校理科第 2 分野及び『生物基礎』との関連を図りながら, 「理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもっ て観察,実験を行うことなどを通して,科学的 に探究するために必要な資質・能力を育成する こと」を目標としている。資質・能力について は,知識,技能に加え,探究の過程を通しての 思考力,判断力,表現力等の育成が重視された 改訂になっている。学習指導要領本文でも,こ れまで「理解する」と表現されていたものが, 「○○を見いだして理解する」や「関連付けて 理解する」などに変更になっていることから も,思考力,判断力,表現力等を重視した改訂 であることが窺い知れる。
東京書籍(株) 理科編集部
本校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されており,2年次にグループ単位で課題研究を実施している。しかし,生徒の大部分は,意欲もあり成果を出したいと思っているものの,進め方・作法がわかっていない。初歩的なところで失敗し,「やってみた」で終わってしまう。本稿では,理科の授業内の探究的な実験を通して,試行錯誤の場を設け取り組ませた実践事例をご報告したい。
大阪府立天王寺高等学校 河井 昇
ニューサポート高校「理科」vol.37(2022年春号)より。私の専門は自然人類学である。人類学と言えば、人間が持っているさまざまな文化について研究する文化人類学が有名だが、それとは別の学問だ。私たちヒトという生物がどのようにして進化してきたのか、ヒトとはどんな動物なのかを探る、生物学の一分野である。
総合研究大学院大学学長 長谷川眞理子
本校は,名古屋市郊外の西春日井郡に位置する普通科新設高校であり,99%以上の生徒が大学への進学を希望しており,それに応えた充実した進路指導を展開している。生徒は素直であり,時間を有効に使って部活動と学習活動を両立させ,熱心に取り組んでおり,その真面目な彼らから「知的好奇心」「向上心」をさらに引き出すべく,学習指導での様々な模索をしている。
愛知県立西春高等学校 長谷川省一
教職について45年になんなんとする。私の教育理念は、「生物を学ぶのにできる子もできない子もいない」という考えだ。自分が夢中で取り組んできた「山口式モジュール教育」をここに紹介したい。
岩手県立岩谷堂高等学校 山口成実
ニューサポート高校「理科」vol.35(2021年春号)より。新教育課程に対応した教科書が発行されます。先生方の関心事には,生徒に思考させる授業をどのように進めていくか,授業内で評価をどのように行っていくか,といった授業に関することから,教科書の学習内容がどのように変わるのか,また,用語が変わるのかということもあると思います。本号では,それらのうち教科書で使用される用語についてご紹介します。
東京書籍理科編集部
東研研究報告「理科教育の充実に向けて -小・中の系統性(粒子・生命・エネルギー)を踏まえた指導の研究-」(東京教育研究所2011年4月発行)より。小・中・高,学年別に生命の連続性について,児童生徒の発達段階におけるねらいや主な学習活動を簡潔に一覧表にまとめました。
東京教育研究所
[2012年度~2016年度使用]高等学校理科基礎シリーズ教科書では,教師用指導資料付属のDVD-ROMに,映像・アニメーション等の動画資料を収録しています。この資料は,動画資料の一部をご覧いただくためのサンプル集です。製品版の動画資料は高精細映像が中心ですが,このサンプル集ではWeb掲載のため,画質を大幅に落としてあります。授業でお使いになる場合は製品版をご利用ください。またこのサンプル集ではMP4形式のデータもご用意しておりますので,スマートフォンやタブレットPC等からもご覧になることができます。製品版ではMP4形式のデータはご用意しておりませんのでご注意ください。
東京書籍(株) 理科編集部
「ニューサポート高校「理科」vol.33(2020年春号)特集:授業を変える2〜思考力・判断力・表現力を育む授業〜」より。時代とともに求められている学力が変化し,新学習指導要領でも「思考力・判断力・表現力」を育成する授業が求められている。これらの力を伸ばすためには講義形式の授業だけでなく実験,レポート作成の指導はもちろん,グループ学習や生徒によるプレゼンテーション等,講義形式以外に生徒自身のアウトプットを伴う授業も取り入れることが望ましいが,実際はなかなか難しい。
朋優学院高等学校教頭 小野間大
日本では、小学校(3年以上)・中学校では、理科という教科を全員が学びます。明治時代、教育制度の初期の頃から英語の「science」は「科学」と訳しましたが、小学校では「理科」といい、そのまま教科名として今でも使われています。今回は、「理科で何を、なぜ学ぶのか」ということについて考えてみます。
元筑波大学非常勤講師 鈴木伸男
皆さんは、小学校では3年生から4年間、[理科]という教科を学び、中学校でも3年間、理科を学習しますが、いまはその学びの途中です。
元筑波大学教員免許更新講習講師 鈴木伸男
『ニューサポート高校「理科」vol.34(2020年秋号)特集:授業を変える3~コロナ禍をどう乗り越えるか~』より。昨年度の終わりから今年度にかけ,新型コロナウイルスの流行により,全国的に学校が休校になりました。昨年度の学期の打ち切りやその対応,新年度の休校期間やコロナ対策をしながらの再開など,現場の先生方は大変な苦労をされていると思います。また,教科指導では,授業が満足に行えない状況となり,教科書の進度に遅れが生じていることや,受験を控えている高3生に満足な受験対策を行えないことなど,焦りや不安なども感じていることと思います。しかし一方では,大学入学共通テストは予定通りの日程で実施することが決まり,受験生にとってはさらに大きな不安要素がのしかかることとなりました。本誌では,この状況の中,どのように教科指導,受験指導を進めていけば良いのか,いくつかのモデルケースを提案させていただきます。今後も厳しい状況が続くことが予想されますが,先生方の指導の一助となれば幸いです。
代々木ゼミナール講師・開智高等学校講師 西村淳矢
ニューサポート高校「理科」vol.32(2019年秋号)より。新しい時代とは何か。「Society 5.0とも呼ばれる新たな時代の到来が,社会や生活を大きく変えていくとの予測もなされている。また,情報化やグローバル化が進展する社会においては,多様な事象が複雑さを増し,変化の先行きを見通すことが一層難しくなってきている。そうした予測困難な時代」の入り口に,私たちは立っている。
福井県教育総合研究所 先端教育センター 特別研究員 川角博
ニューサポート高校「理科」vol.27(2017年春号)より。「次期学習指導要領改訂のターゲットは高等学校」「次期学習指導要領改訂の方向性」「具体的な例」について述べる。
岐阜聖徳学園大学教育学部理科専修教授 寺田 光宏
ニューサポート高校「理科」vol.27(2017年春号)より。「理科学習における高校生の理解」「理科におけるICTの特徴と授業への導入」「アクティブラーニングに有効なICTの活用」について述べる。
名古屋学院大学スポーツ健康学部教授 吉田 淳
ニューサポート高校「理科」vol.27(2017年春号)より。センター試験の概要が大学入試センターから「実施結果の概要」として公表されましたので,簡単に紹介したいと思います。
東京書籍編集部
ニューサポート高校「理科」vol.36(2021年秋号)より。高等学校では、令和4年度より年次進行で改訂された学習指導要領が始まる。今回の改訂で、生徒の学習評価については、指導要録等に観点別学習状況の評価や評定が記載されることになった。そこで、観点別学習状況の評価について概略をみていこうを思う。
東京書籍理科編集部
大学入試は多様化しており,複雑なシステムと感じるかもしれません。特に,2021年1月から「センター試験」にかわり,「大学入学共通テスト」が導入されることが文部科学省から発表されています。ここでは,大学入試全体,さらには高校教育,大学教育を含めた改革の概要などを確認します。
東京書籍(株) 編集局理科編集部
ニューサポート高校「社会」vol.35(2021年春号)より。COVID-19パンデミックで,これまでノーマルだったことがそうでなくなり,新しい枠組みに対応できる力,そして,できなくなったことではなく,今できることは何かを考えるようなメンタリティが改めて問われています。大学教育も遠隔・オンラインと対面指導のハイブリッド化が一気に促進され,さらに決められた時間に授業を受けるという学び方だけではなく,オンデマンドで提供される学習材を用いて,自ら計画的に時間設定して学ぶこととの組み合わせが可能となる学び方が一層拡充されるでしょう。そのような変化の中で,将来教員として活躍する人を養成する大学が,どんな力を入学試験で求めるのかについて考えたいと思います。
兵庫教育大学理事・副学長 吉水 裕也
「生物基礎」(生基701)令和4~7(2022-2025)年度用教科書の、年間指導計画例です。学習内容ごとに、詳細な学習活動、評価の方法などを表にまとめました。
東京書籍(株) 理科編集部
「生物基礎」(生基701)令和4~7(2022-2025)年度用教科書の年間指導計画にもとづく観点別評価規準例です。学習内容ごとに主な学習活動と評価の観点と方法を表にまとめました。
東京書籍(株) 理科編集部
新しい指導要領のもとで書かれた『生物基礎』は,これまでにない構成になっており読み応えがある。今回の指導要領には,「用語の意味を単純に数多く理解させることに指導の重点を置くのではなく」とあり,高校の生物の教科書が暗記科目のようになっていたことを改めるような方向づけがされていた。特に,重要用語の語数が限定されているのも目立った特徴になっていた。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
いい成績を取る学生は,勉強が楽しいのだろうか。当たり前のような問いだが,実は逆だという。世界の小学4年生と中学2年生を対象にした,国際数学・理科教育動向調査の結果が報告された。朝日新聞の分析によると,成績がいい国の学生ほど,勉強がつまらないと思っているようだ
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
プリントアウトやコピーをして読んだ論文は,ナンバリングして保存してある。要旨を電子ファイルにまとめて目次を作っているので,検索できるようになっている。たとえば,ドブソンが書いた論文にこういうことが書かれていたなと思い出すと,Dobsonと打ち込み,出てくる論文の番号を見つけて,引き出しの中から論文を取り出す。事務机の両側の引き出しと,本棚の下の引き出しの3箇所に整理されている。2,000本くらいある。これがいわば外部記憶装置になっている。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
大学生が卒業論文を書くのは大変だろうが,読む側もけっこう大変である。今年は卒論4つである。締め切りの2ヶ月前には催促をはじめたが,ギリギリまで提出しないのも知っていた。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
友人の誘いで予備校で講演をする機会をもらった。現在こだわっている研究の一端を伝えてくれ,内容を予備校生が分かるレベルに落とすのではなく,こだわりをわかりやすく,という注文だった。(本文より)
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
自分がノーベル賞を取れるかどうか,はっきりと分かる。今回は取れない,ということである。しかし長期的にみると分からないぞと言えるところが,研究の面白いところである。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
センター試験が終わり,大学にもホッとした空気が流れている。センター試験は高校や予備校にとっても大イベントだが,試験会場になる大学にとっても同じである。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
最新のネイチャー誌は,理科系教育の特集を組んでいる(2015年7月16日号)。幼稚園から大学入学までの教育の課題や,大学での教育の再評価,大学教授のリーダーシップ,アクティブ・ラーニングの方法,科学者のキャリア,一般に向けた科学教育など,サイエンティフィック・アメリカン誌と合同でまとめた12本の記事を,ウェブから自由に読むことができる。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
この夏休み,後藤祐児先生の研究室の同窓会に参加してきた。私が大学4年生の頃に研究指導を受けた先生だ。今年は先生が還暦ということもあって,例年より参加者が多かったが,ネクタイ姿など一人もおらず,小さな子ども連れも多いし,明日はこのまま釣りに行くのだと短パン姿で釣り竿を持って来ている人もいた。研究室の雰囲気がそのまま形になっているが,この自由な雰囲気のなかで一流の成果が出続けているのだから,弟子は育つというものである。魔法のようである。ラボ運営の師匠でもある。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
また研究室に卒業研究生が配属される季節である。大学3年生が,期待と不安を半々にした顔で研究室に見学にやってきている。研究室ごとに定員があり,私の研究室には毎年3名が配属される。筑波大学応用理工学類はカリキュラムがかなり厳しいので,半分以上をAの成績でそろえてきた学生は,勉強ができるだけではなく集中力や瞬発力がある。バイトとサークルにかまけていたが留年せずにあがってきた学生も要領がいい。いずれも見所があるが,研究室に配属されたあとどこまで伸びてくれるのかは未知である。研究成果をあげるには,小学校からずっとやってきた勉強とは違う能力が必要になるからだ。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
被引用回数のトップ100の論文がNature誌に発表された(1)。なかなか見応えのあるリストで,研究者の間でも話題になっている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
ニューサポート高校「数学」vol.31(2019年春号)より。理工系の女性が少ないということが話題になり始めてから,随分経ったように思う。様々な取り組みが行 われ,少しずつ,女性研究者や技術者の割合は増えて いるものの,研究者に占める割合は15.3%(2016 年)であり,諸外国と比べても低いままである。また,女性研究者の候補者である理工系女子大学生の割合は理学部で27.0%,工学部で14.0%(2016年)でしかな い。
中央大学理工学部情報工学科教授 今井桂子
卒業論文の季節である。これだけ長い文章をはじめて書くという人も多い。最初はどうしても「pHメーターを用いて測定を行った」などと力こぶが入るが,やがて,「pHを測定した」と端的に書けるようになれば,書くことが考える道具になっていく。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
現代の科学は参画する研究者の数が多くなる傾向がある。それでは,研究の規模は研究の質にどのような影響を及ぼすのだろうか? 2月号ネイチャー誌に興味深い論文が報告されていたので紹介したい(1)。要約すると,大きな研究チームは旬の話題を発展させたものが多く,それだけ注目が集まりやすい。一方,小さな研究チームのテーマは革新的な成果につながりやすいのだという。つまり,大型の予算が必要になる大規模なテーマも,ひとりで試しにやってみるようなテーマも,いずれも科学の発展には不可欠なのである。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
寺田寅彦(1878年-1935年)は敬愛する科学者の一人である。「科学というものは結局言葉であり文章である」と言うように,論理や数式だけに頼らず「言葉」を思考の道具にするところに魅力がある。当たり前のことを観察し,鋭敏に言語化できる。例えば,絵の描き方についてこんなふうに説明する。科学者はふつう,こうは言えないものだ。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎