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ニューサポート高校「理科」vol.38(2022年秋号)特集:新課程授業実践~理科の教室から~より。「テーマをもって真理を探究する力」と「共に生きる力」を育むことが、所属する立教学院共通の教育目標である。現職に赴任した 2017年度から探究する力を独自に定め、物理や物理基礎の授業で実施する教科書によくある定番の生徒実験を、この教育目標達成に向けた手段として進めている。新教育課程の中の「探究の過程」「見いだす」「主体的・対話的」「協働」などのキーワードとも関連した取り組みにもなっているので、授業の参考になれば幸いである。
立教新座中学校・高等学校 島野誠大
ニューサポート高校「理科」vol.39(2023年春号)特集:熱化学の指導/実験を通して見いだす力を育む授業設計、より。新学習指導要領では観察・実験を中心に置いた探究活動がより一層求められている。しかし、実験に必要な設備や予算や生徒の実態を考えた際、求められる指導と、現状としてできる指導に差が生まれることは多いのではないだろうか。私が現在勤務しているのは通信制の高校である。通信制は学校で行われる教育活動に制約が多く、授業はまだまだ探究活動中心とは正直に言い難い。しかしその中でも、生徒が授業を受けた際には実験を通して何かしらの気づきをもたらせたいと感じている。今回はそんな中で現状としてできている私の実践を紹介したいと思う。
埼玉県立大宮中央高等学校通信制の課程 後藤敬祐
今年度は、「大学入学共通テスト」と名称が変わってからの4年目となる。本稿では、2024年度大学入学共通テスト「物理基礎」を講評・解説する。※文中の数式は、「Tosho数式エディタ」で作成されています。ワード文書で数式を正しく表示するためには、「Tosho数式エディタ」が導入されていることが必要です。会員向け無償ダウンロードはこちら
愛知県立旭陵高等学校 松野聖史
ニューサポート高校「理科」vol.41(2024年春号)「特集:授業を変える~探究~」より。物理基礎・物理では初学者にとっては理解が困難な目に見えない抽象的な概念を多く扱う。本来であれば実験などを行い、授業をすることが望ましいが、実験準備等の時間を確保できないのが現状である。そこで私は、生徒にとって難解な内容については、授業の説明の際にシミュレーション教材を使用し、概念形成の助けになるようにしている。シミュレーション教材であれば、PC を用意するだけで実践できるため、準備の負担が少ない。インターネットでシミュレーション教材について検索すると、無料で使える「PhET」というサイトや、数式描画ソフトである「GeoGebra」や「Desmos」などが見つかる。私はこれまでに GeoGebra を用いてシミュレーション教材を作成し、授業で活用した。本稿では生徒の概念形成に効果があったと感じた教材について紹介する。
奈良女子大学附属中等教育学校 守本寛治
1月、今年で2年目をむかえる大学入学共通テストが実施された。本稿では、2022年度大学入学共通テスト「物理基礎」を講評・解説する。※文中の数式は、「Tosho数式エディタ」で作成されています。ワード文書で数式を正しく表示するためには、「Tosho数式エディタ」が導入されていることが必要です。会員向け無償ダウンロードはこちら
愛知県立旭陵高等学校 松野聖史
いよいよ始まった「大学入学共通テスト」。今回はまさにその初年度の実施であった。本稿では,2021年度 大学入学共通テスト「物理基礎」を講評・解説する。
愛知県立旭陵高等学校 松野聖史
1月、今年で3年目をむかえる大学入学共通テストが実施された。本稿では、2023年度大学入学共通テスト「物理基礎」を講評・解説する。※文中の数式は、「Tosho数式エディタ」で作成されています。ワード文書で数式を正しく表示するためには、「Tosho数式エディタ」が導入されていることが必要です。会員向け無償ダウンロードはこちら
愛知県立旭陵高等学校 松野聖史
ニューサポート高校「理科」vol.31(2019年春号)より。物理学や化学などで用いられる「量」は「数 値」と「単位」の積で表されるので,単位を統 一しておけば国境を越えあらゆる分野で量をお 互いに正しく認識することができる。このため,世界共通の単位として国際単位系(SI)では秒(s),メートル(m),キログラム(kg),アンペア(A),ケルビン(K),モル(mol),カンデラ(cd)がSI 基本単位として定義され ている。2018 年に開催されたメートル条約の総会で は,この 7つの SI 基本単位のうちキログラム,アンペア,ケルビン,モルの定義を同時に変えるという大幅な改定が採択された。特にキログラムについては,1889 年に「国際キログラム原器」と呼ばれる人工物によって定義されて以来,130年ぶりの改定となる。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センター 工学計測標準研究部門 首席研究員 藤井賢一
ニューサポート高校「理科」vol.37(2022年春号)より。アインシュタインの相対性理論によれば「重力が強いところでは時間はゆっくり進む」という。これまでロケットや人工衛星を使った実験で検証されてきたわずかな効果だが、極めて高精度な原子時計によって、普段の生活のスケールでも観測できるようになった。こうした時間計測の進展は、未来の物理学や社会をどう変えるだろう。
理化学研究所 香取秀俊
センター試験の「物理基礎」,実施3年目である。過去2年間は,かなり基本的な問題が多く,どちらかというと,簡単であった印象が強かったが,さて,今年はどうだったのだろうか。そのほとんどが基本的な問題ではあったものの,しっかりとその現象を理解していないと正答が導けない問題もちらほら見受けられた。
愛知県立中村高等学校 松野聖史
2020年度より,現行の大学入試センター試験が廃止され,「大学入学共通テスト」が実施されることになるのは,ご存じのことかと思う。また,昨年の平成29年11月に「大学入学共通テスト」に向けた検討に資する試行的な検証を行うための試行調査(プレテスト)が,全国1889校の高等学校・中等教育学校にて行われた。物理基礎について考察したい。
愛知県立旭陵高等学校 松野聖史
ニューサポート高校「理科」vol.30(2018年秋号)より。今改訂のポイントは,目標に「~理科の見方・ 考え方を働かせ,見通しを持って観察,実験を 行う…(中略)…科学的に探究するために必要 な資質・能力を育成する」とあるように,学習 活動を「内容ベース」から「資質・能力ベース」 に変えていくことを求め,かつ必要な資質・能 力を,三つの柱として明確化したことである。 この柱を,またそのなかでも特に「思考力・判 断力・表現力等」をどのように育むかというこ とは,求められる思考力とは何かということを 含め,これから各学校で検討しなければならな い点である。
東京書籍(株) 理科編集部
ニューサポート高校「理科」vol.31(2019年春号)より。今回の試行調査(以下,試行調査と呼ぶ)の 大問数は3,設問数は11 に対し,現行のセン ター試験(以下,現行試験と呼ぶ)は大問数 3, 設問数 13 で,設問数は減少している。しかし, 設問が長文化し,実質的な分量としては現行試験と大差ないと考えられる。また,平易な設問でも基礎をきちんと理解し運用できるかを問えるよう工夫がされていることと,考察問題が現 行試験よりも難しくなったことから,難易度は 現行試験に比べやや難と考えられる。
首都圏予備校講師 鈴木悠
大学入試センターが,平成29年12月4日に,結果速報および,問題,解答例,採点基準等を公開したので,今回,「物理」の問題について,どのような問い方によって,大学入試センターのいう“知識の理解の質を問う問題や,「思考力・判断力・表現力」を発揮して解くことが求められる問題”が出題されているのか,その点に注視して,問題を分析した。
愛知県立旭陵高等学校 松野聖史
ニューサポート高校「理科」vol.36(2021年秋号)より。今日のデジタル・エレクトロニクス社会を支えている先端技術の大部分は、物性物理学と呼ばれる分野の研究の産物である。「物性物理学」は文字通り、物質の様々な性質を物理学的視点から研究する学問分野であるが、その理解は、力学・熱・波・電磁気学といった古典物理学のすべてと、原子・分子といった微視的世界を記述する量子論の知識の総結集の上に成り立っている。いわば、これらの基礎的学問を統合して、現代の科学技術へと橋渡しをする学問が物性物理学だと言ってもよいであろう。
東京大学大学院総合文化研究科教授 前田京剛
[2012年度~2016年度使用]高等学校理科基礎シリーズ教科書では,教師用指導資料付属のDVD-ROMに,映像・アニメーション等の動画資料を収録しています。この資料は,動画資料の一部をご覧いただくためのサンプル集です。製品版の動画資料は高精細映像が中心ですが,このサンプル集ではWeb掲載のため,画質を大幅に落としてあります。授業でお使いになる場合は製品版をご利用ください。またこのサンプル集ではMP4形式のデータもご用意しておりますので,スマートフォンやタブレットPC等からもご覧になることができます。製品版ではMP4形式のデータはご用意しておりませんのでご注意ください。
東京書籍(株) 理科編集部
「ニューサポート高校「理科」vol.33(2020年春号)特集:授業を変える2〜思考力・判断力・表現力を育む授業〜」より。時代とともに求められている学力が変化し,新学習指導要領でも「思考力・判断力・表現力」を育成する授業が求められている。これらの力を伸ばすためには講義形式の授業だけでなく実験,レポート作成の指導はもちろん,グループ学習や生徒によるプレゼンテーション等,講義形式以外に生徒自身のアウトプットを伴う授業も取り入れることが望ましいが,実際はなかなか難しい。
朋優学院高等学校教頭 小野間大
『ニューサポート高校「理科」vol.34(2020年秋号)特集:授業を変える3~コロナ禍をどう乗り越えるか~』より。 私が勤務をしている共立女子中学高等学校は,全生徒数が約2000名で,教員数が非常勤講師を含めて約160名の,東京では1番規模の大きい完全中高一貫女子校である。3月初めに新型コロナウイルス感染症の影響で休校になり,各教科でオンライン授業の準備を進め,4月からオンライン授業の取り組みが始まった。前年度から今年度にかけて全生徒が一人一台のタブレット端末を持つ予定であったが,休校に入ってしまった関係で,持っている学年(中2・高2・3)とそうでない学年(中1・中3・高1)が混在した。そのため教材配信のプラットフォーム選び等,学校統一の方針が取りにくく,また中には通信機器を持ち合わせていない生徒もいるなど,各家庭の通信環境の差も大きな壁となった。私は ICT担当業務をしていたこともあり,毎日のように出勤し,生徒端末の不具合の電話対応や教員へのICTサポートに追われる中,自身のオンライン授業の作成に取り組んだ。決してICTに精通しているわけではないが,新型コロナウイルス感染症の第二波・第三波に備えて,現場目線で参考になることを,まとめてご紹介したい。
共立女子中学高等学校教諭 桑子研
日本では、小学校(3年以上)・中学校では、理科という教科を全員が学びます。明治時代、教育制度の初期の頃から英語の「science」は「科学」と訳しましたが、小学校では「理科」といい、そのまま教科名として今でも使われています。今回は、「理科で何を、なぜ学ぶのか」ということについて考えてみます。
元筑波大学非常勤講師 鈴木伸男
皆さんは、小学校では3年生から4年間、[理科]という教科を学び、中学校でも3年間、理科を学習しますが、いまはその学びの途中です。
元筑波大学教員免許更新講習講師 鈴木伸男
『ニューサポート高校「理科」vol.34(2020年秋号)特集:授業を変える3~コロナ禍をどう乗り越えるか~』より。昨年度の終わりから今年度にかけ,新型コロナウイルスの流行により,全国的に学校が休校になりました。昨年度の学期の打ち切りやその対応,新年度の休校期間やコロナ対策をしながらの再開など,現場の先生方は大変な苦労をされていると思います。また,教科指導では,授業が満足に行えない状況となり,教科書の進度に遅れが生じていることや,受験を控えている高3生に満足な受験対策を行えないことなど,焦りや不安なども感じていることと思います。しかし一方では,大学入学共通テストは予定通りの日程で実施することが決まり,受験生にとってはさらに大きな不安要素がのしかかることとなりました。本誌では,この状況の中,どのように教科指導,受験指導を進めていけば良いのか,いくつかのモデルケースを提案させていただきます。今後も厳しい状況が続くことが予想されますが,先生方の指導の一助となれば幸いです。
代々木ゼミナール講師・開智高等学校講師 西村淳矢
ニューサポート高校「理科」vol.32(2019年秋号)より。新しい時代とは何か。「Society 5.0とも呼ばれる新たな時代の到来が,社会や生活を大きく変えていくとの予測もなされている。また,情報化やグローバル化が進展する社会においては,多様な事象が複雑さを増し,変化の先行きを見通すことが一層難しくなってきている。そうした予測困難な時代」の入り口に,私たちは立っている。
福井県教育総合研究所 先端教育センター 特別研究員 川角博
ニューサポート高校「理科」vol.27(2017年春号)より。「次期学習指導要領改訂のターゲットは高等学校」「次期学習指導要領改訂の方向性」「具体的な例」について述べる。
岐阜聖徳学園大学教育学部理科専修教授 寺田 光宏
ニューサポート高校「理科」vol.27(2017年春号)より。「理科学習における高校生の理解」「理科におけるICTの特徴と授業への導入」「アクティブラーニングに有効なICTの活用」について述べる。
名古屋学院大学スポーツ健康学部教授 吉田 淳
ニューサポート高校「理科」vol.27(2017年春号)より。センター試験の概要が大学入試センターから「実施結果の概要」として公表されましたので,簡単に紹介したいと思います。
東京書籍編集部
ニューサポート高校「理科」vol.36(2021年秋号)より。高等学校では、令和4年度より年次進行で改訂された学習指導要領が始まる。今回の改訂で、生徒の学習評価については、指導要録等に観点別学習状況の評価や評定が記載されることになった。そこで、観点別学習状況の評価について概略をみていこうを思う。
東京書籍理科編集部
大学入試は多様化しており,複雑なシステムと感じるかもしれません。特に,2021年1月から「センター試験」にかわり,「大学入学共通テスト」が導入されることが文部科学省から発表されています。ここでは,大学入試全体,さらには高校教育,大学教育を含めた改革の概要などを確認します。
東京書籍(株) 編集局理科編集部
ニューサポート高校「社会」vol.35(2021年春号)より。COVID-19パンデミックで,これまでノーマルだったことがそうでなくなり,新しい枠組みに対応できる力,そして,できなくなったことではなく,今できることは何かを考えるようなメンタリティが改めて問われています。大学教育も遠隔・オンラインと対面指導のハイブリッド化が一気に促進され,さらに決められた時間に授業を受けるという学び方だけではなく,オンデマンドで提供される学習材を用いて,自ら計画的に時間設定して学ぶこととの組み合わせが可能となる学び方が一層拡充されるでしょう。そのような変化の中で,将来教員として活躍する人を養成する大学が,どんな力を入学試験で求めるのかについて考えたいと思います。
兵庫教育大学理事・副学長 吉水 裕也
オリエンテーション用である。高校生に対して,物理学とはどんな学問かを漠然と理解してもらおうと考えた内容になっている。前半では,物理学は極めて積み重ね学問であるという要素が強いことを印象付けるのがねらいだ。中学の理科1分野で,公式ばかりを覚える印象を持っているようなので,その点を改めさせたかった。また,物理学の多くは“法則”で成り立っており,まだなぜそうなるかわからないことが多いのであるということを大げさに語り,興味を持ってもらおうというねらいもある。ここでは,定義と法則と公式の違いを理解させておく。後半,身近にあるボールを取り出して物理学をといてみた。要は,目の前の現象が先にあり,理論をあとからつけたのだということを強調し,これから学ぶ内容についても順に紹介したつもりである。
愛知県立瀬戸窯業高等学校教諭 松野聖史
『改訂 新編物理基礎』の全内容をできるだけ取りこぼすことなく,わずか8回の授業で完結させるために編集された,通信制高校の授業で実際に使用した授業プリントです。各回のプリントは,①単元の目標(授業で伝えたいと考えた内容),②教師用プリント,③生徒用プリントから構成されています。全国の先生方の参考となり,お役立ていただければ幸いです。
愛知県立旭陵高等学校教諭 松野聖史
物理に関する問題では,生徒が間違えやすい問題や誤解しやすい問題があります。そのような問題について誤答例を付けて掲載していきますので,授業やテスト等の参考にご利用ください。[キーワード]気球から石を落とす問題,摩擦,運動方程式,力積,比熱
東京書籍(株) 理科編集部
「新編物理基礎」(物基 702)令和4~7(2022-2025)年度用教科書の、年間指導計画例です。学習内容ごとに、詳細な学習活動、評価の方法などを表にまとめました。
東京書籍(株) 理科編集部
「新編物理基礎」(物基 702)令和4~7(2022-2025)年度用教科書の年間指導計画にもとづく観点別評価規準例です。学習内容ごとに主な学習活動と評価の観点と方法を表にまとめました。
東京書籍(株) 理科編集部
水族館のイワシの群れや,夕方いっせいに飛んでいく鳥の大群,渋谷のスクランブル交差点の人の流れなど,見事に統制がとれている集団がある。もう少し小さなレベルでは,ペトリディッシュの培地の上で増殖する細胞や,細胞の中に張り巡らされた細胞骨格タンパク質のダイナミクスなども,あたかもどこかに指揮者か監督がいて,そのシナリオ通りに役者が動いているように見える。このようなスケールや物性,相互作用の仕方まで異なった現象が,アクティブマターというキーワードに集約され,共通した物理法則で説明されはじめている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
最新のネイチャー誌は,理科系教育の特集を組んでいる(2015年7月16日号)。幼稚園から大学入学までの教育の課題や,大学での教育の再評価,大学教授のリーダーシップ,アクティブ・ラーニングの方法,科学者のキャリア,一般に向けた科学教育など,サイエンティフィック・アメリカン誌と合同でまとめた12本の記事を,ウェブから自由に読むことができる。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
この夏休み,後藤祐児先生の研究室の同窓会に参加してきた。私が大学4年生の頃に研究指導を受けた先生だ。今年は先生が還暦ということもあって,例年より参加者が多かったが,ネクタイ姿など一人もおらず,小さな子ども連れも多いし,明日はこのまま釣りに行くのだと短パン姿で釣り竿を持って来ている人もいた。研究室の雰囲気がそのまま形になっているが,この自由な雰囲気のなかで一流の成果が出続けているのだから,弟子は育つというものである。魔法のようである。ラボ運営の師匠でもある。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
また研究室に卒業研究生が配属される季節である。大学3年生が,期待と不安を半々にした顔で研究室に見学にやってきている。研究室ごとに定員があり,私の研究室には毎年3名が配属される。筑波大学応用理工学類はカリキュラムがかなり厳しいので,半分以上をAの成績でそろえてきた学生は,勉強ができるだけではなく集中力や瞬発力がある。バイトとサークルにかまけていたが留年せずにあがってきた学生も要領がいい。いずれも見所があるが,研究室に配属されたあとどこまで伸びてくれるのかは未知である。研究成果をあげるには,小学校からずっとやってきた勉強とは違う能力が必要になるからだ。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
『ニューサポート高校「理科」vol.34(2020年秋号)特集:授業を変える3~コロナ禍をどう乗り越えるか~』より。技術大国である日本は,実は世界的に見て理系の比率が少ないと言われています。確かに私もそう思います。メディアで紹介される理系の仕事といったら,プログラマーや化学の研究員など,ひどいものだと潰れそうな町工場になります。私は昔からこのへんがおかしいと思っていたのですが,未だに改善されません。それはなぜか?
漫画家 見ル野栄司
被引用回数のトップ100の論文がNature誌に発表された(1)。なかなか見応えのあるリストで,研究者の間でも話題になっている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
卒業論文の季節である。これだけ長い文章をはじめて書くという人も多い。最初はどうしても「pHメーターを用いて測定を行った」などと力こぶが入るが,やがて,「pHを測定した」と端的に書けるようになれば,書くことが考える道具になっていく。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
上野の国立科学博物館に息子と行ってみた。入ってすぐにあるらせん階段の地下一階に,直径23センチの鉄球が天井からワイヤでぶら下げられていて,静かに反復運動をしていたのだが,この動きにすっかり見とれてしまった。これは地球の自転を証明した「フーコーの振り子」とよばれる有名な実験の再現である。周期はヒモの長さのルートに比例するから,毛糸に五円玉をぶら下げた催眠術に使うくらいの振り子と比べると,ヒモの長さが100倍,周期は10倍ほども違う。だから,かなりゆっくりとした動きに感じられる。神々しいと言ってもいい優雅な動きだった。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
現代の科学は参画する研究者の数が多くなる傾向がある。それでは,研究の規模は研究の質にどのような影響を及ぼすのだろうか? 2月号ネイチャー誌に興味深い論文が報告されていたので紹介したい(1)。要約すると,大きな研究チームは旬の話題を発展させたものが多く,それだけ注目が集まりやすい。一方,小さな研究チームのテーマは革新的な成果につながりやすいのだという。つまり,大型の予算が必要になる大規模なテーマも,ひとりで試しにやってみるようなテーマも,いずれも科学の発展には不可欠なのである。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
寺田寅彦(1878年-1935年)は敬愛する科学者の一人である。「科学というものは結局言葉であり文章である」と言うように,論理や数式だけに頼らず「言葉」を思考の道具にするところに魅力がある。当たり前のことを観察し,鋭敏に言語化できる。例えば,絵の描き方についてこんなふうに説明する。科学者はふつう,こうは言えないものだ。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎