教科書の単元から資料を探すページです。
カミーロ ゴルジ (Camillo Golgi)イタリア,1843-1926科学者人物誌―生物東京書籍2002年10月作成ゴルジ体にその名を留めているカミーロ・ゴルジは,北イタリアに生まれパヴィア大学で医学を学んだ。卒業後,彼は一時,6年間ほど,同大学で無給で働きながら基礎的な知識を身につけた後,1872年に大学を離れて,アビアテグラッソという小さな町の重症患者ホームの住込みの医師として就職した。そしてそこで,神経組織を染色するための方法の開発につとめ,重クロム酸塩で固定したあと硝酸銀で処理する方法を見いだした(1873)。神経組織は銀メッキをうけて黒く染まるのだった。彼は自らこの染色を「黒い染色」と呼び
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
ヴィルヘルム フリードリヒ フィリップ ペッファー (Wilhelm Friedrich Philipp Pfeffer)ドイツ,1845-1920科学者人物誌―生物東京書籍2002年10月作成赤血球を水の中に入れると膨らみ,パンクする。あるいはタマネギの鱗茎表皮細抱を濃い砂糖液につけると原形質分離の現象が見られる。そうした話や実習が生物授業でなされることが多い。その際,必ずといってよいほど登場するのが「浸透圧」という言葉である。19世紀の前半,簡単な装置でこの浸透圧を測ったのはフランスのデュトロシェ(1828)であるが,それをさらに精密に測定する装置を工夫し,浸透圧が意外に高いことを示した人物がいる。1875年のことで,その名はヴィルへルム・ペッファー。彼はそれによって「浸透圧」という概念を確立させた。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
【化学アイデアカード】物質の状態・浸透圧・生徒実験・演示実験。(1)浸透が起こる現象を見て,浸透圧について理解を深める(2)卵を使って浸透圧を確かめる。広島県高等学校教育研究会理科部会物化部「理科アイデアカード」編集委員会化学班作成「理科アイデアカード・化学編第Ⅱ集」より。
広島県高等学校教育研究会理科部会物化部「理科アイデアカード」編集委員会
本校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されており,2年次にグループ単位で課題研究を実施している。しかし,生徒の大部分は,意欲もあり成果を出したいと思っているものの,進め方・作法がわかっていない。初歩的なところで失敗し,「やってみた」で終わってしまう。本稿では,理科の授業内の探究的な実験を通して,試行錯誤の場を設け取り組ませた実践事例をご報告したい。
大阪府立天王寺高等学校 河井 昇
授業の始めの5分程度を,前の時間の復習として利用できます。B5判横左半分にテスト,右半分に解答の構成。[キーワード]全透膜,溶血,植物細胞,高張液,細胞内,原形質分離,膨圧,酵素,タンパク質
東京書籍(株) 理科編集部
平成16~21(2004-2009)年度版「生物II」教科書準拠。第1編 生命活動を支える物質 2章 代謝とタンパク質 2-A 代謝とエネルギー。※授業プリントとして,自由に加工・編集してご利用いただけます。
東京書籍(株) 理科編集部
今年のノーベル生理学・医学賞は,東京工業大学・大隅良典栄誉教授の「オートファジーのメカニズムの発見」に対して授与された。生体分子は細胞内で精密に合成され,同様に,精密に分解されている。この分解の仕組みのひとつがオートファジーである。大隅教授は,オートファジーが酵母にも起こることを発見し,関連する遺伝子を特定することに成功した。分解も合成と同様に複雑な仕組みがあるという報告に多くの研究者が興味を持ち,分子生物学的や構造生物学の研究が大発展した。最近ではヒトの細胞での研究も盛んで,神経変性疾患やガンや老化にも関わることがわかってきている。今回は,オートファジーについて簡潔に整理し,細胞内タンパク質の研究を俯瞰してみたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
ほ乳類の細胞内に「膜のないオルガネラ」を作らせた論文がサイエンス誌に報告されている(1)。非標準アミノ酸を持ったタンパク質の合成を試みたものだ。今回は,相分離生物工学の時代の幕開けとなる成果を見ていきたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
タンパク質は細胞内で液-液相分離して集合して働くという仮説が登場し,相分離生物学と呼べる新しい分野が急成長してきた。同時に,実験的な取り扱いや考察に難のある論文も目につくようになり,「ずさんなサイエンスか,それとも画期的なアイデアか? 細胞内の組織化に関する理論は生物学者を分断させる」というちょっぴり過激な題名をつけた解説がサイエンス誌に出たりもしている(1)。今回は,論争が起こっている現在の論点をざっとあげてみたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
細胞には高濃度の物質が含まれているが,高濃度であることは,細胞を生きた状態にするために必要なのだろうか? 今回はこの視点について,これまで書いてきた「かがくのおと」のテーマ,クラウディングや液-液相分離,凝集,溶解度,深共晶溶媒などの視点からあらためて整理してみたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
ウィキペディアの項目の一つ「タンパク質」を,院生たちと共読したことがある。卒業研究の学生が配属になったころ,新人研修の資料に使ってみたのである。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
細胞の内部には核やミトコンドリア,葉緑体などがあり,それぞれ特別の役割を担っている。教科書で見慣れたこのようなオルガネラは,生体膜で区切られているのが特徴だ。一方,液-液相分離した「膜のないオルガネラ」の研究が,最近の一流誌を賑わせている。今回はこのホットなテーマについて紹介したい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
DNAに書き込まれている遺伝情報は,メッセンジャーRNA(mRNA)へと転写されてタンパク質へと翻訳される。そしてタンパク質が働きを担って生命現象を作り出している。このような分子生物学の「セントラルドグマ」から見れば,mRNAは完全に脇役である。しかし最近の研究によると,mRNAは遺伝情報の単なるコピーではなく,遺伝子の発現や局在化を制御する働きも合わせ持つことがわかりつつある(1-4)。mRNAは,遺伝情報をいつどこで発現するのか,自身の配列にコードしているということになるのだ。そこにはもちろん,本コーナーで何度も取り上げてきた「膜のないオルガネラ」が関係する(5,6)。今回は,液-液相分離とともに理解されつつあるmRNAについて整理してみたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
細胞にはDNAやタンパク質,RNA,アミノ酸,脂質など多様な分子が含まれている。これらが化学反応や物理的な相互作用によって互いに影響を及ぼしながら恒常性を保っているのが生きた細胞である。実在の細胞は,DNAが複製されて細胞分裂して増えることもある。このような複雑な細胞の挙動をコンピュータシミュレーションで再現できるのだろうか? もし再現できたとして,それは実物とどのくらい一致するのだろうか? 今回,ミニマル細胞をモデルに精密なシミュレーションを試みた成果が報告されているので紹介したい(1)。この成果が全細胞シミュレーションの現在での到達点である。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
生命科学の分野では今,液-液相分離がホットな研究テーマになっている。これまで,「かがくのおと」でもこの話題をいくつか取り上げてきたが,今回,プリオンタンパク質も細胞内で液-液相分離をするという論文を紹介したい(1)。プリオンタンパク質は強固な凝集体を形成して感染因子になることが知られていたが,このたび,ストレスに応じてゲル化し,ストレスから守る働きもあるようだ。そのために,この危険なタンパク質が進化的に保存されてきたのかもしれない。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
細胞内には液-液相分離してできたさまざまな種類の液滴がある。この液滴は「膜のないオルガネラ」とも呼ばれ,細胞内のさまざまな機能をパッケージしたり,温度やpHなどの環境変化に対するストレス耐性を持たせたり,転写や翻訳やシグナル伝達などの細胞内情報伝達のあちこちに関係するなど,細胞内の機能に関する新しい発見が毎週のようにトップジャーナルを賑わしている。ここ「かがくのおと」でも,この1年で6回も取り上げてきたテーマである(1-6)。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
水溶液中の物質は,温度が上がるほど拡散が速くなる。細胞内にあるタンパク質やRNAなども,体温が一定に保たれる恒温動物でない限りは外界の温度の影響を受け,拡散速度が変化するだろう。そのため,細胞内にある物質の拡散速度が一定になるよう何らかの仕組みがあると考えられてきた。12月10日号のCell誌にこのViscoadaptation(粘度適応)のメカニズムについて報告されているので,研究の周辺を含めて紹介したい(1)。生命現象と物理学との接点にある発見はいつもワクワクする。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
これまで15年間ほど,タンパク質しか研究していない。つまり私に書けるものは,タンパク質しかない。そんなことで,何かは書けるはずだと高をくくっていたのだが,さいしょに会った編集者に「先生にとってタンパク質って何ですか」といわれて,はたと答えに窮した。タンパク質とは何か。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎