多くの高校教員同様,私も雑務に追われる日々を送っています。しかし,「教える側は,教わる側以上に勉強すべき」という思いは捨てがたく,また教える側が歴史学の楽しさを知っていなければ,生徒諸君に歴史の本当の楽しさを伝えることはできません。そう思い続け,日常の雑事に埋没して勉強を忘れることのないよう,ささやかな抵抗を続けてきました。
振り返れば,大学生のときに宮崎市定先生の『中国史』上下(岩波書店)を読んで以来,中国に,宋という時代に,とりわけ兵士たちに関心を持ち,勉強を続けてきました。
もちろん,研究で食べていける身分ではありませんし,おまけに世界史というやっかいな(?)科目を担当していますので,中国以外のことも学ばなければなりません。しかし,一方で中国史研究という土台を維持し(かなり危ういですが,,,),「歴史」を学ぶことを忘れず,生徒諸君に「歴史」(「受験のためだけの世界史」ではない)を語り続けてきました。こうした姿勢は,市場原理に基づく効率主義とは正反対ですが,本来の学びは,「最小の努力で最大の効果」などという効率主義は通用しないと思っています。
今回,「兵士たちの中国史」という題名で,連載をはじめさせていただくこととなりました。
北海道立命館慶祥高等学校教諭 斎藤忠和