ニューサポート高校「社会」vol.12(2009年秋号)より。世界史の教科書のなかで,「世界」という単語は頻出する。「東南アジア世界の形成」,「東アジア世界の変容」などである。これらの場合,「世界」は地球上の陸地を大きく区分した地域概念と結びついている。同時に,大変曖昧ではあるが地域は文明圏概念とも結びついているため,「世界」という言葉を用いることが許されるのであろう。このような多様な「世界」にあって「イスラーム世界」だけは,地域概念と結びついていない。
東京書籍「世界史B」編集委員 東洋大学教授 東京大学名誉教授 後藤明