[本文より]小説をできるだけ丁寧に読んでいく。今回,このことを芥川龍之介の「羅生門」の授業で実践してみました。ただ,この場合,「丁寧に」といっても,この意味は,単に時間をかけるというだけではありません。本当に意図したのは,「言葉にこだわっていく」ということです。そのことを,なぜ,この言葉でこのように表現したのだろうか。そんなことを常に考えながら,そこにある言葉や表現の一つ一つを吟味していく。そしてその背後にあるものまでも,できるだけつぶさに読み取っていきたいと思ったのです。これは,そうした目的を持って行った授業で,実際,生徒がどのように「羅生門」を読んだかという,その報告です。
東京都立工芸高等学校 高橋良久