[本文より] この「ずなりぬ」は,打ち消しの助動詞「ず」の連用形+四段動詞「なる」の連用形+完了の助動詞「ぬ」と品詞分解される語である。したがって,これを直接現代語に置き換えれば「 ~しなくなった」となるであろう。
ところが,この場合,どうもそうはならないようである。このことを教えてくれるのは,『ベネッセ全訳古語辞典』(ベネッセ)と中村幸弘・碁石雅利氏の『古典文の構造』(右文書院)である。『ベネッセ全訳古語辞典』の「ずなりぬ」の項には,次のようにある。
東京都立工芸高等学校 高橋良久