ニューサポート高校「社会」vol.37(2022年春号)より。この四半世紀にわたりロシア極東を調査地として環境変動の研究を進めてきました。この時期は、東シベリアとロシア極東のエネルギー資源探査が一気に進んだ時期でもあります。サハリンの大陸棚や、シベリア卓状地での東シベリア油・ガス田の開発です。これらの油・ガス田からの原油をアジア・太平洋諸国へと輸出するため、ロシアは東シベリア太平洋石油パイプライン(ESPO)の敷設を急ピッチで進めました。初めて訪ねた時は、日本海に面する寒村であったコズミノが、みるみるうちに巨大な石油の積み出し港に変貌していく様を実見し、オイルマネーのすさまじさに目を見張る思いでした。
北海道大学低温科学研究所准教授 白岩孝行