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マーシャル ウォーレン ニレンバーグ (Marshall Warren Nirenberg)アメリカ,1927-科学者人物誌―生物東京書籍2002年10月作成「彼はクラブの会員ではなかった」。ある科学史の本は,ニレンバーグの仕事を取り上げた章に,こんな表題をつけた。 DNAの二重らせんモデル(1953)で遺伝子の正体が明らかになったとき,すぐ次に問題となったのは,遺伝暗号の翻訳の筋道だった。核酸の塩基配列に指令されてタンパク質ができることや,RNAが仲介役らしいことは,多くの人が考えていた。物理学者のジョージ・ガモフは知人を誘って,揃いのネクタイをつけるRNAタイ・クラブというのをつくった。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
ヨアヒム アウグスト ヴィルヘルム ヘマリング (Joachim August Wilhelm H?mmerling)ドイツ,1901-1980科学者人物誌―生物東京書籍2002年10月作成1901年,へマリングはドイツ国立銀行の官吏の息子として生まれた。正確で律義な彼のライフスタイルは,そうした家柄を反映したものであろうか。この性格がヘマリングに“自然”を精密に見る目を培った,と同時に,晩年の彼に自ら孤独を選ばせたのかもしれない。彼は学生時代に音楽が好きで,生物学と音楽のいずれを生涯の仕事にするか迷った時期があったと伝えられている。カイザー・ウィルヘルム研究所(後のマックスプランク研究所)のハルトマン博士の下で学位を取得した後,1927年にはハルトマンの助手になった。原生動物学者であったハルトマンはナポリの実験所から地中海産のカサノリをもち帰り,海藻の生活環に関する研究材料としてヘマリングに手渡した。これがカサノリとの出合いであった。へマリングの有名な実験は,カサノリそのものの正確な観察すなわち仮根部に一核をもつ単細胞体であるという発見に基づくものであった。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
ハーマン ジョセフ マラーアメリカ,1890-1967科学者人物誌―生物東京書籍2002年10月作成生物体にX線を照射して,人為的に突然変異を誘発する方法を発見したのは,ハーマン・ジョセフ・マラーであった。 彼はニューヨークの金属工芸店に生まれた。8歳のころ,父に連れられて自然史博物館を見学に行き,そこに陳列された化石標本を見て,生物がいかにして進化してきたかについて関心を持ちはじめた。そして自然界におけるこの進化を,未来において人為的にコントロールできるはずだと思い,ここから遺伝学に興味を覚えるようになったという。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
ジョージ ウェルズ ビードル (George Wells Beadle)アメリカ,1903-1989科学者人物誌―生物東京書籍2002年10月作成ジョージ・ビードルは,1903年にネブラスカ州ワフーの町に生まれた。ネブラスカ州立大学で農学を学んだ後,コーネル大学の植物育種学教室でエマーソンの指導の下に,トウモロコシの細胞遺伝学の研究を始めた。そのころのコーネル大学には,細胞遺伝学的研究をしていたシャープやランドル,最近“動く遺伝子”の発見者としてノーベル賞を受賞したマクリントックなどがいて,最高の研究環境であった。数年の研究でビードルは,植物の不稔現象の解明に貢献する数編の論文を著わし,博士号を取得した。同時に政府から研究補助金を得てカリフォルニア工科大学のモーガンの研究室に移った。そこでの彼は,染色体遺伝学の材料として高度に開発されてきていたショウジョウバエに興味をもち,染色体の交叉に関する,特に相同染色体間の組換え現象に関する基礎的な分析を行った。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
セベロ オチョア (Severo Ochoa)スペイン,1905-1993アーサー コーンバーグ (Arthur Kornberg)アメリカ,1918-科学者人物誌―生物東京書籍2002年10月作成1959年度のノーベル医学・生理学賞のタイトルは“リボ核酸およびデオキシリボ核酸の生物学的合成機構の発見”である。平たくいえば,RNA,DNAの合成酵素をそれぞれ発見したという業績に対して賞が与えられたのである。その栄に輝いたのが今回登場のオチョアとコーンバーグというわけである。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
ハール ゴービンド コラーナ (Har Gobind Khorana)インド,1922-1996科学者人物誌―生物コラーナはインドに生まれ,米国で活躍した化学者,生化学者である。数々の業績を挙げたが,その中の一つ「遺伝コードの解明」で,1968年ニレンバーグ(M.W.Nirenberg),ホーリー(R.W.holley)とノーベル医学・生理学賞を分けあった。現在も,米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の科学,生物学教授として細胞膜の研究を精力的に進めている。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司
関西大学初等部・中等部・高等部は,関西大学付属の初中高一貫校として2010年に大阪高槻市に開校した。関西大学の掲げる「考動−Think × Act−」を軸に,「確かな学力」「国際理解力」「情感豊かな心」「健やかな体」を目指すことにより「高い人間力」を養うことを一貫教育目標としている。初等部では“ミューズ学習”で思考スキルの育成,中等部では“考える科”で高次思考力の育成,高等部では“プロジェクト科目”で探求型の課題研究に取り組んでいる。本校での実践を紹介する。
関西大学中等部高等部教諭 宮本裕美子
授業の始めの5分程度を,前の時間の復習として利用できます。B5判横左半分にテスト,右半分に解答の構成。[キーワード]連鎖,組換え価,染色体地図,常染色体,肺炎双球菌,R型菌,S型菌,DNA,形質転換,DNA 分子の構造モデル,ワトソン,クリック
東京書籍(株) 理科編集部
平成16~21(2004-2009)年度版「生物II」教科書準拠。第2編 遺伝子の本体とはたらき 1章 遺伝子の本体とはたらき 1-A タンパク質と遺伝子。※授業プリントとして,自由に加工・編集してご利用いただけます。
東京書籍(株) 理科編集部
平成16~21(2004-2009)年度版「生物II」教科書準拠。第2編 遺伝子の本体とはたらき 2章 遺伝子の発現 2-A 転写・2-C 遺伝の暗号・2-D 翻訳。※授業プリントとして,自由に加工・編集してご利用いただけます。
東京書籍(株) 理科編集部
平成16~21(2004-2009)年度版「生物II」教科書準拠。第2編 遺伝子の本体とはたらき 4章 バイオテクノロジー 4-C バイオテクノロジーの光と陰。※授業プリントとして,自由に加工・編集してご利用いただけます。
東京書籍(株) 理科編集部
平成16~21(2004-2009)年度版「生物II」教科書準拠。第2編 遺伝子の本体とはたらき 1章 遺伝子の本体とはたらき 1-B DNAの構造・1-C DNAの複製。※授業プリントとして,自由に加工・編集してご利用いただけます。
東京書籍(株) 理科編集部
ポリリン酸が面白いと研究室の学生に教わり,原著論文や総説を研究室メンバーと輪読してきた。ポリリン酸は,リン酸が連なった単純な構造を持つポリマーだが,飢餓などのストレスへの応答や遺伝子の発現制御などの役割がわかりつつあり,産業的には食品や肥料などに応用されている。最近では相分離生物学に関する発見もあって確かに面白い。今回はこの多芸な分子について少し整理しておきたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
細胞の中はタンパク質やRNAなどの高分子が豊富に含まれており,およそ300 mg/mLにもなるとされる。このような高分子がたくさん含まれた状態を「高分子クラウディング」や,単に「クラウディング」という。クラウディングによってタンパク質分子は,立体構造や活性など広く影響を受ける。今回はクラウディングの研究成果を元に,細胞内の様子を考えてみたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
RNAは21世紀初頭の生命科学を代表するテーマである。一流誌の目次に「RNA」の文字を見ない日はない。フォローしていくのが大変なほど進展が早いのも特徴だ。トピックはもちろん,タンパク質をコードしているメッセンジャーRNA(mRNA)や翻訳にかかわるトランスファーRNA(tRNA)といったお馴染みのRNAではなく,ノンコーディングRNA(ncRNA)である。ヒトゲノムのなかでタンパク質をコードする領域はわずか2%程にすぎず,大部分に残された「暗黒領域」の研究が精力的に展開されている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
タンパク質は固有の構造を形成して働く。これはタンパク質の基本的なドグマだが,最近,構造を形成せずに働くタンパク質が話題になっている。日本語では「天然変性タンパク質」,英語では「Natively Unfolded Protein」や「Intrinsically Disordered Protein」という。タンパク質のことを知っている人に「おや?」と思わせる,インパクトのある名前だ。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
DNAに書き込まれている遺伝情報は,メッセンジャーRNA(mRNA)へと転写されてタンパク質へと翻訳される。そしてタンパク質が働きを担って生命現象を作り出している。このような分子生物学の「セントラルドグマ」から見れば,mRNAは完全に脇役である。しかし最近の研究によると,mRNAは遺伝情報の単なるコピーではなく,遺伝子の発現や局在化を制御する働きも合わせ持つことがわかりつつある(1-4)。mRNAは,遺伝情報をいつどこで発現するのか,自身の配列にコードしているということになるのだ。そこにはもちろん,本コーナーで何度も取り上げてきた「膜のないオルガネラ」が関係する(5,6)。今回は,液-液相分離とともに理解されつつあるmRNAについて整理してみたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎