教科書の単元から資料を探すページです。
平成18年3月,全国歴史教育研究協議会が編集・発行した「全歴研研究紀要第42集」をもとに,『新たな歴史教育の創造をめざして-新学習指導要領をふまえた指導上の課題-』をテーマに発表された,各分科会の提案内容を,紹介させていただきます。本報告では、先の全国歴史教育研究協議会での発表報告を踏まえて、生徒たちが生活し学んでいる地域に残る郷土資料を活用し、それを授業で取上げて、生徒に歴史を身近なものであること認識させ、歴史的思考力を培うために、歴史の成り立ちを郷土資料(古文書など)を活用しての授業を通して理解させることを目標とする。具体的には、「幕末の社会情勢」をテーマに、江戸近郊の武蔵国多摩郡小野路村の名主小島家が四代にわたって綴った「小島日記」の記述の中から教材となる記事を撰述し、そこに幕末慶應期の社会情勢がどのように記述してあるかを見て、人間の営みと意識を、日本史全体=通史との関連させて追究していきたい。題材とする「小島日記」と名主小島家については、『全歴研研究報告 第46回研究大会(東京大会)』に詳述してあるので、本報告では割愛する。
神奈川県立元石川高校教諭 岩﨑孝和
[巻頭言]黒船の時代の世界と日本-アジア・太平洋の「世界化」の中で-ニュ-サポ-ト高校社会Vol.8(2007年秋号)[本文より]今年(2007年)5月から,朝日新聞が,「歴史は生きている-東アジアの150年」と題するシリ-ズの連載を始めている。その手始めに,内外の歴史学者など20人に,それぞれが重要と考える10の出来事を選ぶよう,アンケ-トを行っていた(5月29日紙面)。そこでは,時系列では最初のものとして,多くの回答者がアヘン戦争をあげていた。実際,中国では,近代史はアヘン戦争から始まるとされるのが普通である。当時の日本にとっても,アヘン戦争の衝撃は大きなものがあった。そして,この戦争の敗北の経験の中から生み出された魏源の『海国図志』が,ほどなく日本にもたらされ(1847年出版の60巻本,日本到来は1853年),翻刻,あるいは部分訳の出版によって広く読まれ,日本人の対外認識に大きな影響を与えたことも,すでによく知られているところであろう。
『世界史 A』編集委員 前横浜市立大学教授 加藤晴康