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ニューサポート高校「理科」vol.35(2021年春号)より。「あれっ,左利きなんだね。」なぜ,ヒトは「利き手」というものに興味をもつのだろうか。右手と左手を胸の前で合わせてみる。大抵の場合,驚くほどピッタリと重なる。これほど左右対称な構造を,粘土細工で作るのは難しいはずだ。だとしたら,箸やペンを持つとき,どっちを使っても良さそうなものだ。皆がランダムに使えば,左右の使用は半々になる。にもかかわらず,古今東西,ホモサピエンスは右利きが圧倒的多数(約9割)である。「左利きなんだね」は,少数派に出会った素直な驚きであろうが,本当の謎は,なぜ,左右対称な体の構造の使用に,偏り(=多数派と少数派の別)があるのか,ということだ。
慶応義塾大学・商学部[生物学教室]・准教授 上村 佳孝
ニューサポート高校「理科」vol.37(2022年春号)より。私の専門は自然人類学である。人類学と言えば、人間が持っているさまざまな文化について研究する文化人類学が有名だが、それとは別の学問だ。私たちヒトという生物がどのようにして進化してきたのか、ヒトとはどんな動物なのかを探る、生物学の一分野である。
総合研究大学院大学学長 長谷川眞理子
ニューサポート高校「理科」vol.31(2019年春号)より。[生物基礎]分量は現行センター試験とほぼ同じである。特徴としては,単純な暗記知識で解ける設問が減少した。代わりに会話文や身近な生物の内容の設問が多く出題され,共通テストが目指す方向性が反映されている。読解力を必要とする設問や知識を関連させる設問が多いので,時間内で解答するのはやや厳しいと思われる。[生物]知識を使って解答を導きだす思考力が重視され,単純な暗記知識で解答できる設問は少なか った。複数の分野にわたる総合問題が出題された。また,組み合わせを選ぶ設問で,部分点の設定があるものが見られた。分量は前回のプレテストに比べて減少したが,思考力や文章の読解力を求める設問が多く,現行のセンター試験よりやや難しくなった。
東進ハイスクール講師 山口学
ニューサポート高校「理科」vol.30(2018年秋号)より。『生物基礎』では,中学校までに学習した内 容を基礎として,『生物』では,中学校理科第 2 分野及び『生物基礎』との関連を図りながら, 「理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもっ て観察,実験を行うことなどを通して,科学的 に探究するために必要な資質・能力を育成する こと」を目標としている。資質・能力について は,知識,技能に加え,探究の過程を通しての 思考力,判断力,表現力等の育成が重視された 改訂になっている。学習指導要領本文でも,こ れまで「理解する」と表現されていたものが, 「○○を見いだして理解する」や「関連付けて 理解する」などに変更になっていることから も,思考力,判断力,表現力等を重視した改訂 であることが窺い知れる。
東京書籍(株) 理科編集部
「ニューサポート高校「理科」vol.33(2020年春号)特集:授業を変える2〜思考力・判断力・表現力を育む授業〜」より。『生物基礎』と比較して『生物』の内容は,分子から生態系まで幅広い内容を扱うことから,探究的な学習をするための時間の確保や環境の整備などの難しさが指摘されており,「主体的・対話的で深い学び」を通して科学的に探究しようとする態度の育成をどのように実現するかが課題となる。このような現状において,生物現象を自分のこととして捉え,生徒の思考力・判断力・表現力を育成することを目的として,本校では遺伝カウンセリングロールプレイングを行っている。
慶應義塾女子高等学校教諭 内山正登
本校は,名古屋市郊外の西春日井郡に位置する普通科新設高校であり,99%以上の生徒が大学への進学を希望しており,それに応えた充実した進路指導を展開している。生徒は素直であり,時間を有効に使って部活動と学習活動を両立させ,熱心に取り組んでおり,その真面目な彼らから「知的好奇心」「向上心」をさらに引き出すべく,学習指導での様々な模索をしている。
愛知県立西春高等学校 長谷川省一
教職について45年になんなんとする。私の教育理念は、「生物を学ぶのにできる子もできない子もいない」という考えだ。自分が夢中で取り組んできた「山口式モジュール教育」をここに紹介したい。
岩手県立岩谷堂高等学校 山口成実
生物群集を理解させる身近な生物の教材化の研究-生物相の多様な世界をのぞいてみよう-。ショウジョウバエは遺伝学者モーガンが染色大切を提唱するきっかけとなった実験昆虫であり,この昆虫がなぜ実験に用いられるのかを理解する。また, ショウジョウバエの突然変異体を用いて,交配実験を行い遺伝学の基礎を学ぶ。
栃木県立宇都宮高等学校 敦見和徳
大阪高等学校で探究(研究)活動を続けてきた5年間を振り返ると、先生方や財団等、実に多くの方々からご支援をいただくことができた。全国の学校教育機関でも、新学習指導要領の施行を見すえたさまざまな教育実践が行われていると思うが、本稿では環境DNAを利用した実践事例を軸に、5年間における探究(研究)活動の歩みをご紹介したい。一つの実践例として参考にしていただけたら幸いである。
学校法人大阪学園 大阪高等学校 谷脇鉄平
東研研究報告「理科教育の充実に向けて -小・中の系統性(粒子・生命・エネルギー)を踏まえた指導の研究-」(東京教育研究所2011年4月発行)より。小・中・高,学年別に生命の連続性について,児童生徒の発達段階におけるねらいや主な学習活動を簡潔に一覧表にまとめました。
東京教育研究所
ニューサポート高校「理科」vol.35(2021年春号)より。新教育課程に対応した教科書が発行されます。先生方の関心事には,生徒に思考させる授業をどのように進めていくか,授業内で評価をどのように行っていくか,といった授業に関することから,教科書の学習内容がどのように変わるのか,また,用語が変わるのかということもあると思います。本号では,それらのうち教科書で使用される用語についてご紹介します。
東京書籍理科編集部
平成30~33(2018~2021)年度用高等学校教科書「(307)スタンダード生物」のシラバス案をご紹介します。
東京書籍(株) 理科編集部
平成30~33(2018~2021)年度用高等学校教科書「(307)スタンダード生物」の評価規準例をご紹介します。
東京書籍(株) 理科編集部
高校の教科書を20年ぶりに読んでみたのだが,『生物Ⅱ』の内容におどろいた。ES細胞やヒトゲノムなど最近の話題も豊富で,なにより全体の流れがよくできている。しかしこう言えるのは今だからであって,当時は生物学の面白さはわからなかった。理学部生物学科を受験したにもかかわらず,受験科目には物理と化学を選んだほどである。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
大学はChatGPTの話題でもちきりである。半年前にはChatGPTを知っていたのは一部の専門家だけだったが,今はユーザーが急速に広まっており,半年もすれば,ChatGPTが存在しない世界には戻れなくなるのだろう。東京大学の副学長が4月3日に公式に見解を出しており,そこに「多くの分野の学者が社会の大変革を予感しており,原子力やコンピューターの登場ぐらいのインパクトがあるだろうと語っています」と書いているほどである(1)。今回,一般のユーザーとしてChatGPTを使ってみた2023年4月時点での感想を記録しておきたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
大学の教員になって実感したが,入試にはいろんな種類がある。センター試験と二次試験だけでなく,推薦やACや編入があるし,大学院の8月期と2月期などもある。社会人や留学生の入試もある。問題作成や,面接や試験監督などの担当もあるので,役目がけっこう回ってくる。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
一般向けの本をはじめて書いてみた。論文や総説を百本近く書いてきたタンパク質人生のなかで,はじめての経験である。そして余談だが,労力のわりには儲けはほとんどない。印税生活など簡単ではない,そんなあたりまえの事実もよくわかった。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
研究室で院生たちとよく飲むのだが,先日の飲み会は楽しかった。新しく配属された4年生の研究テーマを酒の肴に,皆でワイワイと飲むのだから楽しいに決まっている。こうして,酒の席でテーマが誕生するのが恒例になっている。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
顔の見えない講義が期待されている。カリキュラム委員会に出席したときにそれを実感したのである。シラバスは入学した学生との契約だから,仮に教員が異動しても,その学生がいる限りは講義しなければならない。だから内容を教員に任せるのではなく,教科書を指定しておく方がよい。そして,シラバスに教科書を記すのなら,欧米でも通用する本格的な教科書の方が好ましい,というふうな話の流れであった。
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
大学2年生のころの化学系の講義だったと思う。教室に現れた教授が,先週号のNatureにすばらしい論文が出ていたんだと言った。いつもは教える気がなさそうに教科書を淡々と読んでいるだけなのに,意外にもきれいな絵を黒板に描いて,楽しげに解説をはじめた。教授の頭は目下そのことで一杯になっており,溢れたものが体中から出ているようだった。今から思うとあの話はカーボン・ナノチューブの発見の論文で,具体的な内容はほとんど理解できなかったが,いい大人が科学的な発見に驚き,心から面白がっている,そんなことがいっぱい分かるようになれば気持ちいいんだろうなと思った。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
これまでに100本ほどの論文の著者になっている。多産な方だが,論文というものは難しいもので,たくさん書けばいいというものでもない。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
細胞にはDNAやタンパク質,RNA,アミノ酸,脂質など多様な分子が含まれている。これらが化学反応や物理的な相互作用によって互いに影響を及ぼしながら恒常性を保っているのが生きた細胞である。実在の細胞は,DNAが複製されて細胞分裂して増えることもある。このような複雑な細胞の挙動をコンピュータシミュレーションで再現できるのだろうか? もし再現できたとして,それは実物とどのくらい一致するのだろうか? 今回,ミニマル細胞をモデルに精密なシミュレーションを試みた成果が報告されているので紹介したい(1)。この成果が全細胞シミュレーションの現在での到達点である。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
友人の誘いで予備校で講演をする機会をもらった。現在こだわっている研究の一端を伝えてくれ,内容を予備校生が分かるレベルに落とすのではなく,こだわりをわかりやすく,という注文だった。(本文より)
筑波大学大学院数理物質科学研究科准教授 白木賢太郎
科学の価値は定量的に評価できるのだろうか。これは昔からある難問である。最近でも,理論物理学者のレインハード・ウェルナー教授が,科学の価値は定量などできないという極論をNature誌にあらためて寄稿し,サイトのコメント欄は研究者たちの賛否両論で賑わっている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
水族館のイワシの群れや,夕方いっせいに飛んでいく鳥の大群,渋谷のスクランブル交差点の人の流れなど,見事に統制がとれている集団がある。もう少し小さなレベルでは,ペトリディッシュの培地の上で増殖する細胞や,細胞の中に張り巡らされた細胞骨格タンパク質のダイナミクスなども,あたかもどこかに指揮者か監督がいて,そのシナリオ通りに役者が動いているように見える。このようなスケールや物性,相互作用の仕方まで異なった現象が,アクティブマターというキーワードに集約され,共通した物理法則で説明されはじめている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
この夏休み,後藤祐児先生の研究室の同窓会に参加してきた。私が大学4年生の頃に研究指導を受けた先生だ。今年は先生が還暦ということもあって,例年より参加者が多かったが,ネクタイ姿など一人もおらず,小さな子ども連れも多いし,明日はこのまま釣りに行くのだと短パン姿で釣り竿を持って来ている人もいた。研究室の雰囲気がそのまま形になっているが,この自由な雰囲気のなかで一流の成果が出続けているのだから,弟子は育つというものである。魔法のようである。ラボ運営の師匠でもある。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
被引用回数のトップ100の論文がNature誌に発表された(1)。なかなか見応えのあるリストで,研究者の間でも話題になっている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
現代の科学は参画する研究者の数が多くなる傾向がある。それでは,研究の規模は研究の質にどのような影響を及ぼすのだろうか? 2月号ネイチャー誌に興味深い論文が報告されていたので紹介したい(1)。要約すると,大きな研究チームは旬の話題を発展させたものが多く,それだけ注目が集まりやすい。一方,小さな研究チームのテーマは革新的な成果につながりやすいのだという。つまり,大型の予算が必要になる大規模なテーマも,ひとりで試しにやってみるようなテーマも,いずれも科学の発展には不可欠なのである。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
寺田寅彦(1878年-1935年)は敬愛する科学者の一人である。「科学というものは結局言葉であり文章である」と言うように,論理や数式だけに頼らず「言葉」を思考の道具にするところに魅力がある。当たり前のことを観察し,鋭敏に言語化できる。例えば,絵の描き方についてこんなふうに説明する。科学者はふつう,こうは言えないものだ。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎