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生命科学は,個々のタンパク質の同定と機能の解明を目指す各論的な研究が今も重要なテーマだが,最近ではゲノム計画以降の包括的な研究が本格化し,遺伝子やRNAやタンパク質といった物質レベルから,代謝や老化や脳機能などのより高次の生命現象に至るまで,さまざまな切り口での研究が進んでいる。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
クライオ電子顕微鏡が大流行している。「クライオ(cryo)」とは「冷凍」という意味で,凍結した試料を電子顕微鏡で観察する方法である。試料を染色や固定をせず急速凍結させるために,より生きた状態に近い観察が可能だ。分解能の限界のために細胞内の形状を観察するひとつの方法に過ぎなかったが,2013年に3.4Å分解能でのタンパク質構造の報告があり,それ以降,クライオ電子顕微鏡は,X線結晶構造解析や核磁気共鳴(NMR)法に匹敵する方法に成長しようとしている。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
前回に続いて,今回はタンパク質研究の大きな方向性について,いつも考えていることを整理してみたいと思う。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎
今年のノーベル賞はタンパク質の時計とタンパク質用の顕微鏡が受賞した。タンパク質の時代が続いており,まことにめでたいことである。ノーベル化学賞の対象になったクライオ電子顕微鏡の技術革新については,2年前に「かがくのおと」に紹介しているのでぜひご覧ください。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎