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作問活動を通して数学的活動サイクルの自立化を目指した授業実践を紹介する。今回は、数学Ⅲ「複素数平面」の単元における入試問題を参考にして生徒自身が問題を作問し、ペアワークでお互いの問題を解く授業について考察する。
三重県 皇學館中学校・高等学校 黒田大樹
「解法は1通りではない」-数学の別解づくりを考えよう-稲永善数―平成15年4月作成より。複素数にしてもベクトルにしても,それぞれの使い勝手の特性がある。しかし,平面の問題であれば,その道具をフル回転すると,いろいろな解法が見つかるものだ。私事であるが,教科書の「図形と方程式」「三角比」の章をすべて,「複素数」で表現したら面白いのではないかと考えまとめたことがあった。実際,複素数で表現しても「それが使えるか?」という話になると,例えば,直線の方程式は ax + by + c = 0 であることは理解できるが,a, b, c は実数とする。z = x + iy, z = x − iy とおくと,a z + z2 + b z − z2i + c = 0 と表現できる。しかしすぐ,「直線の方程式である」とは分かりにくいものである。まして,a, b, cが複素数であれば話は又ややこしくなる。余弦定理,面積など複素数の表現はかなり複雑怪奇だ。式を見ただけでは何かわからない。
稲永善数
三角関数の正弦と余弦についての2倍角の公式,3倍角の公式および4倍角,5倍角(の公式)を眺めれば,sin nθ(n=2, 3, 4, 5)については,nが偶数のときにはsinθの整式とは表せず,sinθの奇数次の項のみの整式とcosθの積に表されること,nが奇数のときにはsinθの奇数次の項のみの整式であること,cosnθ(n=2, 3, 4, 5)については,nが偶数のときには の偶数次の項のみの整式であり, が奇数のときには の奇数次の項のみの整式であるということに気がつく。ここで,一般の自然数nについてもこの事実が成り立つのではないかと推測されるが,本稿ではこのことについて,ド・モアブルの定理と二項定理を活用して考察する。※文中の数式は,「Tosho数式エディタ」で作成されています。ワード文書で数式を正しく表示するためには,「Tosho数式エディタ」が導入されていることが必要です。無償ダウンロードはこちら→無償ダウンロードのご案内
山口県立岩国高等学校教諭 西元教善
「解法は1通りではない」-数学の別解づくりを考えよう-稲永善数―平成15年4月作成より。「図形と方程式」の章の授業をしながら「この問題は,ベクトルで処理すれば簡単に求められるのに」「この問題を複素数平面とみなして処理すれば,面白いかも」などと,考えながら授業をする先生方も多いことだろう。ここで,問題を解決する道具として「ベクトル」「複素数」「行列」のそれぞれの有効性を考えてみる。
稲永善数
「高校数学ニューサポートVol.1(創刊号2004年4月発行)」より。「複素数平面の周辺」現在の高校2年からはじまる新課程で,複素数平面は姿を消す。ひとつ前の課程の1次変換と入れ替えで約30年ぶりに復活した項目であったが,結局わずか10年の命で再び1次変換にその座を明け渡すこととなった。「グラフと定積分」高校の教科書で積分を導入するのに,区分求積法によって定積分の意味づけを行うのではなく,微分の逆演算として不定積分を定めるところから始めるのが主流になって久しい。それに伴って,積分の面積としての意味は薄くなり,求積は定積分の本質に関わる問題ではなく,単なる積分の応用のひとつにすぎなくなってしまったように感じる。
開成高等学校教諭 井出健宏