今回の学習指導要領改訂の鍵となる重要な概念に「社会に開かれた教育課程」がある。社会に開かれた教育課程とは,未来軸(子供たちの未来をどうやって今に落とし込むか),社会軸(学校という空間とその外側の家庭,学校,地域とをどうつなげるか),主体軸(子供たちに未知の世界の中で生き抜く力をどのようにつけさせるか)と考えると分かりやすい。本書の序章では,社会に開かれた教育課程の目指すものについて解説し,社会に開かれた教育課程の理念に基づく学校経営の取組の参考になる事例として次の六つの事例を紹介している。①「社会へアクティブに関わる態度の育成」、②「社会の創り手を育む教育課程の創造」、③「地域とともにある学校 ~教育活動の充実を目指して~」、④「地域社会とともに創る教育課程」、⑤「地域,家庭による教育力の活用~参画型コミュニティ・スクール~」、⑥「キャリア教育を通した地域市民づくり」。 各学校においては,これらの事例を参考にし,未来社会を生きる今の子供たちに求められる資質・能力の育成に向け,社会に開かれた教育課程の理念を踏まえた学校経営の改善・充実をさらに推進されることを,心から期待したい。(東研研究報告 No.283)
東京教育研究所