教室の窓「中学校社会Vol.12」2008年1月号より。「十年の計は樹を植えるべし。百年の計は子孫の教育にあり」。日本人のブラジル移住を切り開いた「移民の祖」水野龍りょうの言葉である。生前水野が居を定めたパラナ州の州都クリチーバにある日伯文化福祉協会に、銅像とともに遺されている。1908年、水野は移民船笠戸丸により781名の日本人をブラジルへと導入した。2008年はその百年の節目にあたる。現在30万人を超える日系ブラジル人(非日系配偶者を含む)が日本に在住する状況を、はたして水野は想像することができたであろうか。そして在日日系ブラジル人にとって、この水野の言葉はどのように響くのであろうか。
東京外国語大学多言語・多文化教育研究センターフェロー 小嶋茂