初等幾何の授業が高校からなくなって40年になる。履修した最後の世代も退職してしまった。教科書には、図形的な要素はあっても、座標幾何あるいは解析幾何の類いか、ベクトルで占められている。もちろん、それらが不要と言う訳ではない。しかし、初等幾何でしか学べない数学的な思考があり、それらを切り捨てたかにみえる現在の指導要領には問題が有ると主張したい。幸いなことに初等幾何をたたきこまれた世代の教員に教わった世代の教員が、まだ半数近く居る。今こそ、最後のチャンスである、是非初等幾何を生かした授業を研究し広めていこうではないか。この授業案は、図形と方程式の中で共通接線の方程式を求めるという大きな目標の中に初等幾何の要素を盛り込んである。けっして平易ではないが、大きな学びを得ることができるのではないかと考えている。
埼玉県立豊岡高等学校 五十嵐英男