数学Ⅱで不等式の証明を扱うが,絶対不等式の証明では,両辺の差≧0等を示すのに2乗すると0以上となるという実数の性質を根拠とするので,数学Ⅰで学習する平方完成という式変形が重要になる。そこから,「相加・相乗平均の関係」や「Cauchy-Schwarzの不等式」といった,不等式の証明や最大値・最小値を求める際にも有効な公式が導かれる。この小論は,不等式の証明の授業をしていたとき,生徒にとって手頃で興味深い不等式はないかと探していたとき,本棚で目に留まった『不等式への招待(大関信雄・清太共著)』の中で見つけた「Shapiroの巡回不等式」について考察したものである。
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山口県立岩国高等学校教諭 西元教善