大学院は少人数で実施されるため,授業内容が脱線することも多く,それがむしろ参考になることがある。ある日の授業で,学生が初めての海外旅行でのエピソードをたまたま披露してくれた。英国観光の途中で,帰り道が分からなくなり,実力発揮とばかりに得意の英語で地元の人に尋ねたそうである。口から飛び出た英語が, “Excuse me. Could you tell me the way to the post office?”である。スムーズに出たのはよいが,目的地がまったく違ったのである。行きたかったのは郵便局ではなく,帰りの駅であった。すぐに最後の部分を言い換えて,無事に駅までたどり着くことができたのは言うまでもない。なぜそうなったか振り返ってみると,どうやら中学生の頃に何度も繰り返して練習した表現ではないかと推測された。
愛知教育大学 杉浦正好