ニュ-サポ-ト高校社会Vol.9 2008年4月号より。中国・山西省の古都大同と省都太原との間は、恒山の険阻な山並みで距てられている。2001年8 月、機会があって、大同から太原へと通じる国道を走った。途中、南に恒山の尾根に沿って連なる明代の長城を望んでいた折しも、右手に城塞らしきものが認められた。そこで、およそ2 キロ、脇道に乗り入れた。かくて、思いがけなく、城壁に囲まれた小さな聚落(城村)に行き当たることができた。初建は遼金時代にまで遡ると伝えられる朔州市山陰県所属の「旧広武城村」である。
東京大学名誉教授 尾形勇