英語の授業では,生徒は教師を”Ms. / Mr. ~”と呼ぶのが普通です。この呼び方には,大切な文法のポイントと文化のポイントが含まれています。日本の中学校や高校では,最初の授業のときに,教師が自分を”Ms. / Mr. ~”と英語で呼ぶよう自己紹介をしたにもかかわらず,一学期が終わる頃,生徒が教師を日本語で呼んでいることがよくあります。そのような生徒は,「○○先生」と呼ぶのではなく,ただ「先生」と呼びます。これは,英語での呼び方が難しいから,というわけではないでしょう。おそらく,英語で教師を呼ぶ場合,日本語と違って名字を省略することができないという点にとまどいを覚えたからではないでしょうか。“Mr. Watanabe”からは,”Mr.”も”Watanabe”も省略することができませんので,教師を呼ぶたびに,名字まで言わなくてはなりません。毎回毎回教師の名字まで言うことに生徒は慣れてないので,面倒に感じるのかもしれません。それに,日本語で「先生」と呼ぶほうが尊敬が込められていると思うのでしょう。
立教女学院高等学校 北野マグダ