【本文より】筆者の一人吉本は,本校に赴任し生物IIを教えることになった。担当するクラスは3年生の教養コースだから何をしても構わないとのこと。高橋の強い勧めもあり,漁港の町気仙沼ならではの実験観察,すなわち容易に入手できる魚介類の解剖を,『第Ⅳ章・課題研究』として位置付け,授業に取り入れようと話はまとまった。とは言うものの,この手の実験観察など授業で扱った経験のない筆者らはろくな教材観もなしに,泥縄式,前後の授業との脈絡なしに実験観察を進めていた。ところが対象とする魚介類の種類が増すにつれ,そして授業が“生物の進化と系統”という項目にさしかかったあたりで,魚屋の店頭に並ぶ魚介類であっても,それぞれの生活様式と形態,各種器官の有無等を比較検討すれば,動物の進化(変化)を理解する上で大いに役立つ教材になるとの思いに至った。以下は,教える側と教えられる側がともに驚き,そして楽しみながら行った授業実践の記録である。
宮城県気仙沼西高等学校 吉本裕一,高橋誠子