エリー メチニコフ (Elie Metchinikoff)
ロシア,1845-1916
科学者人物誌―生物
エリー・メチニコフは,ユダヤ系ロシア人で1842年オデッサに生まれた。彼の2度目の妻オリガの著した伝記によると,エリーはまるで火焔のように激しい児であったという。彼は語学の才に長けており,中学では唯物論を読むためにドイツ語を勉強した。顕微鏡で浸滴虫について観察した結果を当時ロシアにおける唯一の科学雑誌へ投稿したが,退廃現象を発育現象と見誤っていたことに気づき,急ぎ取り下げたので,誤謬の処女論文は公表されずに済んだ。何につけても早熟気味のエリーは,6歳で初恋を経験し,中学時代には友人の妹に,またその後,嫂に対しても淡い思慕の情を抱いたことを妻に告白している。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司