ヨハンス ペーター ミュラー
フランス,1801-1858
科学者人物誌―生物
ミュラーは,当時フランスの領有下にあったライン河畔はコブレンツの,町家の生れ。神学・哲学から人体や博物にわたる手広い窮知心は,生得のものらしい。手近のボン大学医科へ進むが,“自然哲学”や“生気論”の風靡する当時のドイツ知識界は,彼にとって,いまひとつ好適な環境という所から遠かった。「動物の運動について」の学位論文でボン大学を終えて,ベルリン大学に進み,解剖・生理学教授ルドルフィの解明・実証的な学風に触れたのが一大転機となった。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司