フレデリック フロスト ブラックマン (Frederick Frost Blackman)
英国,1866-1947
科学者人物誌―生物
東京書籍2002年10月作成
筆者が高校生か大学生のときであったか,不確かな記憶になってしまったが,光合成のしくみを学んだとき,明反応と暗反応にかかわる人物の名がとても覚えやすいという印象をもった。明反応のしくみを解析した人物としてロバート・ヒルが,暗反応に関係して今回の主人公のフレデリック・ブラックマンがそれぞれ登場したからである。すなわち,ヒルは「昼=明」に,ブラックマンは「黒=暗」に通じるのである。ついでだが,ヒルの発見は葉緑体による二酸化炭素以外の物質の光化学的還元反応であり,ヒル反応というが,厳密には明反応(光化学反応と,それに付随する電子伝達系,リン酸化系)=ヒル反応ではない。いっぽう,暗反応は光合成の過程で,光が関与していない反応を指し,Otto Warburgによって名づけられたブラックマン反応という名が当てはめられることがある。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司