サー アレグザンダー フレミング (Sir Alexander Fleming)
英国,1881-1955
科学者人物誌―生物
東京書籍2002年10月作成
サー・アレグザンダー・フレミングは,ペニシリンの発明者として大変有名である。1944年にサーの称号を受け,翌年ノーベル医学・生理学賞を受賞するなど,彼の晩年は栄光に満ちている。しかし,初めから恵まれていたわけではない。フレミングは,スコットランドに生まれ,1897年ロンドンの工芸学校を出て,船会社に就職し,4年近く働いた。1900年の終りごろには,ボーア戦争の義勇兵として参加した。翌年,伯父の遺産が入って医学を志し,聖メアリ病院医学校に入学,卒業後は病理学の教室で学んだ。第一次世界大戦中は軍医として従軍し,復員後,聖メアリ病院に戻った。1908年にロンドン大学で学位を得て,1928年から同大学の細菌学の教授となったが,生涯を通して聖メアリ病院の質素な研究室で細菌学の研究を行った。厳格で,清廉な学者として知られている。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司