ジョージ ウェルズ ビードル (George Wells Beadle)
アメリカ,1903-1989
科学者人物誌―生物
東京書籍2002年10月作成
ジョージ・ビードルは,1903年にネブラスカ州ワフーの町に生まれた。ネブラスカ州立大学で農学を学んだ後,コーネル大学の植物育種学教室でエマーソンの指導の下に,トウモロコシの細胞遺伝学の研究を始めた。そのころのコーネル大学には,細胞遺伝学的研究をしていたシャープやランドル,最近“動く遺伝子”の発見者としてノーベル賞を受賞したマクリントックなどがいて,最高の研究環境であった。数年の研究でビードルは,植物の不稔現象の解明に貢献する数編の論文を著わし,博士号を取得した。同時に政府から研究補助金を得てカリフォルニア工科大学のモーガンの研究室に移った。そこでの彼は,染色体遺伝学の材料として高度に開発されてきていたショウジョウバエに興味をもち,染色体の交叉に関する,特に相同染色体間の組換え現象に関する基礎的な分析を行った。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司