ハンス シュペーマン (Hans Spemann)
ドイツ,1869-1941
科学者人物誌―生物
東京書籍2002年10月作成
シュペーマンはドイツの動物学者で,形成体(オルガナイザー)の発見者としてよく知られている。カエルやイモリの胚発生でその因果関係を知るために,独自にガラス針や毛髪などを導入して細微手術を胚に施し,移植実験や結紮実験,欠損実験など行った。数多くのこれらの実験の集大成として形成体の発見がなされたが,この発見は当時,育ちつつあったルーの提唱した発生機構学という新しい学問分野をさらに発展させ,その後の実験発生学の出発点となり,生物学の研究に大きな影響を与えた。また当時,前成説の考え方がある中で後成説の立場を明確に示し,長い間,論争のあったこの問題に一応の終止符を打った。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司