デンマークのコペンハーゲン大学教授であったChristen Raunkiaerの名前は,わが国ではラウンキエールとかラウンケルと呼ぶことが多いが,ラウンケアーと呼ぶのが正しい。高校の教科書には彼の生活形システムが必ず載っているが,その研究の生物学的意義は必ずしも明確にされていない。彼の業績は大部分がデンマーク語,その他フランス語,ドイツ語で書かれたが,1904年以来の主な論文が英訳されて『植物の生活形と統計的植物地理学』という標題で,1935年にオックスフォードのクラレンドン・プレスから刊行された。序文ではイギリスの有名な生態学者タンスレーが懇切に内容を紹介し,その業績を高く評価している。
東京大学大学院総合文化研究科 岡本拓司