【本文より】エステル化,とりわけ酢酸とエタノ-ルから酢酸エチルを合成する実験は,エステルの独特な臭気は確認できるが,その無色油状物質の収率が必ずしも大きくない。そのため,反応温度や空気冷却管によるエステルの回収,触媒の濃硫酸の量などについて検討する必要がある。特に濃硫酸の量については次の表のとおり教科書や実験書によって様々で,最適量が不明である。
そこで,これまで筆者が経験的に行ってきたカルボン酸とアルコ-ルの量に対する濃硫酸の割合や加熱の在り方等を紹介するとともに,NMR装置で定量的に調べた論文(「エステル化反応に及ぼす硫酸の量の影響」清水かおり・丸山雅雄,化学と教育45巻9号(1997))のデ-タ等も参考にしながら,エステル化を上手くすすめる(エステルの収率を上げる)方法を紹介したい。
札幌白陵高等学校 玉利和弘