[内容]力学分野の実験では,いかに摩擦の少ない状態で実験をするかが大きな課題である。演示実験用にはエアートラックやエアーパックが理科学機器会社から市販されており,いずれもほぼ摩擦のない状態を実現している。これらを用いて等速度運動を演示すると,いまにも止まりそうな速さでいつまでも動き続けるので,生徒から感嘆の声があがる。
このエアーパックを生徒実験で使うことができれば,新しい生徒実験を展開できるのではないだろうか。平面内で運動することを生かしての平面内での衝突実験や,摩擦が極めて小さいことを生かしての慣性の実験などである。特に,慣性については,運動の法則の理解ばかりでなく,運動量,等速円運動などの学習にも関わり,エアーパックを用いることにより慣性概念が定着すれば,これらの理解にも役立つのではないだろうか。
このようなことから,生徒実験に使える,扱いの簡便なエアーパックを製作したのでその概略と,エアーパックを用いた実験の事例を報告する
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茨城県立鉾田第一高等学校 関口隆司