「高校数学ニューサポートVol.1(創刊号2004年4月発行)」より。「複素数平面の周辺」現在の高校2年からはじまる新課程で,複素数平面は姿を消す。ひとつ前の課程の1次変換と入れ替えで約30年ぶりに復活した項目であったが,結局わずか10年の命で再び1次変換にその座を明け渡すこととなった。「グラフと定積分」高校の教科書で積分を導入するのに,区分求積法によって定積分の意味づけを行うのではなく,微分の逆演算として不定積分を定めるところから始めるのが主流になって久しい。それに伴って,積分の面積としての意味は薄くなり,求積は定積分の本質に関わる問題ではなく,単なる積分の応用のひとつにすぎなくなってしまったように感じる。
開成高等学校教諭 井出健宏