[本文より]たいていの「数学I」の教科書には,数え上げの例題で,こんなのがある。「大小2個のサイコロを同時に投げるとき,目の和が7になる場合は何通りか?」
教科書では,もれなく重複なく書き上げることをねらいとしているらしい。
(1,6),(2,5),(3,4),(4,3),(5,2),(6,1)∴答:6通り
あるいは,この確率を求めさせることもある。
私は,この問題が嫌いだった。そもそも,大きさの違うサイコロを投げるという場面は経験したことがない。しかも,大きいサイコロの目が[1]で,小さいサイコロの目が[6]だったりすると,大きいほうが小さいことになってややこしい。授業ではサイコロの現物を教室に持ち込んで見せることで,この辺りはなんとかクリアできるが,それでも「大小」とか「同時」の意味合いは,哲学的で伝わりにくい気がする。
まだ問題はある。書き並べて数えることが目的なのに,わざわざ点の座標のように(大,小)という形式で書いたり,あるいは対応表のように書くのは面倒くさい。生徒は,たいてい2-5とか34のような略記を好む。しかも答えが意外と単純(?)なので,ノートに書かずに,空で数えたほうが早かったりもする。
栃木県立鹿沼東高等学校 篠原浩