「解法は1通りではない」-数学の別解づくりを考えよう-稲永善数―平成15年4月作成より。数年前,期待値の授業をするため,マークシートの用紙を配った。「今から,でたらめに 1~5までの番号に○を付けてください」怪訝そうな生徒を尻目に,20 問の 5 択問題に黒く塗りつぶさせていった。一般に 5 問中 1 問の確率で当たるのであるが,その平均点は,私の思惑とおり, 1 問 5 点であるのでほぼ 100 × 1/5 = 20 点になった。その中で,70 点を獲得するものがいた。その後,彼に同じように,マークシートをやってみると今度は 50 点である。後日談であるが,中学生に等しい彼の英語力は,高等学校でも欠点すれすれで留年を押しとどめている。彼が大学を推薦入試にチャレンジすることになった。国語は校内 1,2 位を争うほどの実力の持ち主,しかし英語はからっきし駄目,しかし推薦入試はマークシートであった。彼は日頃の才能(?)を存分に発揮し,英語も高得点で合格したのである。
稲永善数