21世紀を迎えた今も,世界各地で起こっている紛争は,おさまる気配を見せない。我々は,例え断片であったとしても,ニュース映像をはじめ様々なメディアによって伝えられる紛争の姿を日々目の当たりにしている。それらが,我々に与える衝撃は大きい。そして,憎しみの連鎖がもたらす悲惨な結果に心を痛める人も多い。本節では「現代の地域紛争」を取り上げる。ただし,それは単に紛争(戦争)がもたらす悲惨さを,浅薄なヒューマニズムに訴えて慈悲の心を育てようとか,世界史や政治経済など既存科目のように,羅列的に事実関係を知ろうとするものではない。ここでは,本科目のコンセプトに従い,現代国際社会が抱える紛争の実情と,そのメカニズムを学び,分析的視点を養うことが主眼である。そのため,まず,20世紀における紛争の解析と質的変化の考察を行い,次いで紛争の具体例を概観する。
立命館慶祥高等学校 斎藤忠和