高校生を対象として,授業の中身を豊かなものにする読み物,文も平易に記述してあります。
戦国時代、各国は「友好関係」を保持するために、人質を交換する習慣があった。子楚は秦から趙に人質として送られた王子であった。人質は両国間に事が起これば、殺される運命であるから、不遇な存在である。そんな子楚に目をつけたのが、趙の大商人呂不韋(りょふい)であった。呂不韋は商人として道をきわめたので、政治に携わりたいと考えていた。彼は子楚を秦王とすることによって、政治にかかわろうとした。呂不韋はそんな思いをこめて、不遇な生活をしている子楚をなにくれとなく面倒をみる。呂不韋の愛人に趙姫なるものがいた。子楚は趙姫に目をつけ、譲り受けた。このとき、彼女は呂不韋の子を宿していたが、それを秘して子楚のもとに行った。
名古屋市立向陽高等学校 野田隆稔