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パウロの書簡に見る贖罪の思想について
(とくに,ローマ書 5章 12節を中心として)

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公開日:2000年03月10日
パウロの書簡に見る贖罪の思想について(とくに,ローマ書 5章 12節を中心として)

[本文より] イエスの死後,数十日にしてエルサレム教会は成立した。12弟子やそれに近かった人々が,ヨハネ・マルコの家に集まっているとき精霊降臨があったといわれる。しかし彼らは純粋にユダヤ人であり,ユダヤ人とユダヤ教から離れる意識はなかった。一緒にパンをさくとか,午後三時に神殿に祈りに行くとか,聖書を読み共に生活するということなどに見られるようにユダヤ教圏内に生活していた。つまりキリスト教は出発時にあっては,ユダヤ教と未分離だったのである。しかしながらパウロは,ユダヤ民族をとおして与えられた約束が(全世界のものとなる福音を)どのようにして異邦人に条件なしに適用できるかという事を考え,そのため彼は外的な制約のみならず内的な・宗教的な,ほとんど本質にかかわる事さえも打ち破ってしまおうとした。この事は,エルサレムの教会においても分かってはいたが,実際には展開されなかったし,イエス自身の場合でも展開は疑問である。ところが異邦人伝道に全生涯を捧げたパウロは,この事に身をもって戦っていったのである。そしてパウロに起こった様々な問題に答えるものとして数々の手紙を書いた。(従って様々な内容の手紙があり,問題を状況から切り離したり,抽象的に考えると意味が分からなくなったり,言おうとした事を引き出してしまう等の問題点が生じてきた。)パウロの考えた事は,ユダヤ人(特にユダヤ教の指導者たち)にとっても予想できなかった事でもあった。従ってユダヤ教の指導者たちから非常に攻撃をうけたのである。旧約によるユダヤ人は選民であったが,パウロにとっては撤廃されなければならないことであったし,それがイエスの福音であった。パウロは律法を揚棄し,イスラエルの選民意識を撤廃する事により福音が明らかにされ真の連帯がうまれると異邦人に教えたのである。このパウロの贖罪の思想について,ここでは主にローマ書を中心に考えて行きたいと思う。

郡山女子大学附属高等学校 大塚啓一郎

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