[チュニジア]アントニヌスの浴場、撮影年月:2001年6月、撮影場所:カルタゴ、撮影者:野町亘。写真(1)カルタゴでもっとも有名な遺跡、「アントニヌスの浴場」である。2世紀、ローマ帝国五賢帝の一人とされるアントニヌス・ピウスによって建設された。ローマ人の風呂へのこだわりが感じられる広大な遺跡である。写真(2)アントニヌスの浴場は総2階建てで、更衣室、温浴風呂、水風呂、サウナ、プール、談話室など100以上の部屋がその2階部分に左右対称に配置されていた。これはその各部屋をつなぐ通路である。写真(3)この豪華絢爛のローマ浴場は、5世紀ヴァンダル人の侵入によって破壊され、廃材の大理石などはオスマン・トルコやイギリスのカンタベリーなどに建築資材として持ち出された。当時の破壊のようすを物語る情景である。写真(4)浴場1階への入口には当時の日時計が残されている。写真(5)アントニヌスの浴場は、1980~88年にユネスコの支援で部分的修復が行われている。これは修復された通路のようす。写真(6)アントニヌスの浴場の復元模型。遺跡の入口付近に置かれている。規模壮大であるとともに、現代の「健康ランド」などの施設としても少しも違和感のないモダンなものであったことがわかる。
神奈川県 野町亘