[本文より]仮にここに1つのグラフがあると想像してもらいたい。縦軸が「英語の能力の伸び」で,横軸が「努力の程度」を表すグラフである。仮に,英語の能力というのは努力すればする程伸びるということなら,グラフの線は正比例になる。ところが,実際の英語の学習曲線はもう少し厄介な曲線になるようだ。つまり,努力することを続けながら,つまり,知識やインプットを蓄積しながら,線はゆっくりと伸び,ある所まで来ると急に上に跳ね上がり,再びその状態から高原状態(プラトー)が続き,プラトーの状況が続いている間も絶えず学習は持続させていれば,なかなか能力の伸びを示す線は上がらないが,やがて,ある時点まで来ると再び上に跳ね上がる。こうして高原状態(プラトー)と急に能力の線が跳ね上がるブレイク・スルーの状態が交互に起きながら,英語の能力が伸びていくらしいのである。
山梨大学助教授 古家貴雄