1950年12月、三好達治の紹介により『文学界』に「ネロ他五編」が掲載され、谷川俊太郎は衝撃のデビューを果たした。達治の紹介は異例中の異例で、確固たる地位を確立している有名詩人が無名詩人たる若者のためにそれを行ったのである。
評価の是非は後述するが、ここでは、詩人や研究者たちが、衝撃だと述べた内容が、「宇宙的なイメージ/はるかな国からの来者(従来の詩とは異なる)/詩的な感性への衝撃」といった内容で括られている点は、見逃せない。以来「谷川は戦争を詠わない」という評価が下ったとしたら、短絡的すぎないか。表題の詩二編以外にも詩集『二十億光年の孤独』には、戦争への並々ならない詩情豊かに批判する、裏に秘めた「魂」を感じる。そのことについて論じていきたい。
北海学園大学 元講師 荒木美智雄
A4判たて,4ページ