タンパク質の研究分野で人工知能(AI)が目立ちはじめたのは2020年頃だろうか。それから3年ほどでAIが構造生物学の分野を席巻したかのような印象がある。最近は「かがくのおと」でもこの話題を取り上げることが増えており,衝撃的な登場をしたAlphaFoldの話題や(1),ほぼ全ての既存のタンパク質構造がデータベース化された話(2),さらには汎用AIの応用や溶液系への展開(3)などを紹介してきた。それから1年足らずの間に,タンパク質の逆フォールディング問題やRNA構造までAIが急速に広がってきたので,この面白い時代の流れをあらためて取り上げてみたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎