ニューサポート高校「社会」vol.38(2022年秋号)より。「〇〇の扉」と聞くと、生徒が自身とのつながりを意識しやすい内容を取り上げ、科目への関心を高めて動機づけをする導入単元を思い浮かべるかもしれない。実際、旧学習指導要領の「世界史 B」などではその意味で用いられていた。これに対して、「公共の扉」の趣旨は、具体的な社会事象を取り上げて関心を高めることにとどまらない。「公共の扉」では、さまざまな課題について選択・判断していくための、原理的で領域横断的な概念や考え方を獲得することが求められる。いわば、「思考の道具箱」である。
筑波大学附属駒場中・高等学校教諭 山本智也